『一流になり、有意義なキャリアを進め』―「コンサル0年目の教科書」古谷昇(著)
・短い時間で一流になれ
仕事をする上で、「一流」になるのは大切です。「二流・三流」では、重要な仕事をさせてもらえないからです。
信頼され、責任ある仕事を任されるには、その分野で「一流」であると評価されなければいけません。
では、どれくらいの期間を経て人は、「一流」の仕事人になるのでしょう。著者は約10年はかかるといいます。
就職活動で「裁量」があると宣伝する企業は多いですが、「一流」にならなければ「裁量」をもらっても結果を出せません。
自分の裁量で、楽しく仕事をこなして結果を出したいと思っても、約10年かかると聞くと、気が遠くなり、残念に感じませんか。
本書はこの「約10年かけて一流になる」という状態から脱却し、短い時間で「一流」になるためのノウハウが書かれた本です。
・古谷昇(著者)とは何者?
著者の古谷昇氏は、東大の大学院(工学)の修士課程を終えて、コンサル大手「BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)」に入社。
どんどん出世を重ねた(シニア・ヴァイス・プレジデント)後、独立してDI(ドリーム・インキュベータ)を設立。
現在はDIの代表取締役を退き、大企業やベンチャー企業の支援などを行っています。
本書は著者が2004年に出版した本「もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる法」を改題、再刊したものです。
本書を通じて著者は、全てのビジネスに利用できる基礎的なノウハウを伝えようとしています。
早く一流の仕事人になり、豊かなキャリアプランの形成を本書は助けてくれるかもしれません。
・本書の構成
本書の内容をまとめると、以下のようになります。
全体を通じて、できる仕事人の視点や考え方、仕事の手法などが書かれており、どこを読んでも勉強になります。
また、本書の内容は主に若年層向けに書かれており、「成長したい」「一流になりたい」と考える若者は読むしかないでしょう。
新人が一流に、そして経営者になるところまでを推定したような本の構成、野心的な若者にぴったりな気がします。
・不毛な時間と議論を終わらせろ
本書が提示する重要なメッセージとして、「短い時間で成果を得る」というのがあげられると思います。現代文化にマッチしてますよね(笑)
会議も「短くて濃い」のがいいでしょうし、短時間で仕事を終わらせれば、その分他のことに時間を使えます。時間の使い方は大事です。
本書の中で私は、「抽象的な議論」を「具体化して解決する」という点に注目しました。
「例示」「数値化」「図式化」など、具体化の重要性は言うまでもないと、感じるかもしれません。ですが、まだ浸透していないと思います。
私のように政治学を研究していると、具体化されず、科学的に評価されていないものが、多くあるのを目にします。
抽象的な議論は当事者にとって楽しいものかもしれませんが、ふわふわしていて話の終わりが見えてきません。具体化は、この問題を解決します。
ようするにエビデンスを重視した方がいいわけです。
政治におけるエビデンスの重要性は、安芸高田市の市長と議会のやり取りを見れば理解できると思います(あくまで一例です)。
具体化し、目に見えて、誰でも理解できる状態にすることで、中立的な評価が可能になります。
抽象的な議論も大切ですが、仕事のような納期などの時間的制約がある環境では具体化して、早期に解決するのが大切なのです。
・おわりに
本書は題名に「コンサル」とあるため、コンサル向けの本だと思うかもしれません。
しかし、著者の意図するところは「コンサル限定本」ではなく「誰でも短い時間で一流になって、楽しく仕事に取り組もうよ」です。
ビジネスマンであれば、参考になる点が必ず一つは見つかることでしょう。本書から多くの一流が生まれ、成長していくことを著者は待っています。
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