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月への叛逆【詩】


・前置き
滑稽で間抜けで出来損ないの詩を作ってしまった、と書いた当初考えていた。
私の無意識にあるものを引っ張り出そうとした言葉のため、無秩序となっている詩です。だが、いくつかの比喩表現は面白いため、そこを取ってまた新たな詩を作ってみたいと思っていた。そして、この出来損ないの詩のおかげで「翳の叛逆、その兆し」という詩が書けた。念のため記録としてこの詩を残しておくとします。


無垢無期懲役の目覚めは
吹き飛ばす、粉塵を
散り舞う芥の過ぎ去りし者たちを
消えた、忘却のなかでさえ
世界を鋳直す記憶の改竄

松明、木の暁の里
零れゆく火の音、光の音
滴る、たむ、下萌える、垢
一滴の墨、赫黒く硝煙を曳く
堕罪はうねり
病蠶やまいごは天に捨てられ爆ぜて世界を紡ぐ白い血を降らせ包みこむ

無垢無期懲役の月
堕罪のうねり
世紀末、終末の月は膿の口紅を塗りたくる擬似太陽
純粋の月光は世界を削ぐ
戦士の皮膚を剥ぐ
闘いの轟き、真空に散る葬られた繭の世界
降注ぐ、白い罫
円、延々と、産褥の野に立つべし

浮雲そよぎ削ぐ、底抜け落ちたのは裏という彼岸のみ
崩れゆく鞠、解れゆく世界との絆を描く弧
産毛の野に立つ

そよぐ、黄金の夜街
疲労した者の往来する月の肌
そこに百花に咲き乱れる性器は抜け落ち
水晶より芽生えた不死の花へと姿を変える
真理の帝国、月の偽りの女王、偽りの懐妊
小径を閉ざし君臨す



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曲田尚生
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