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掌編 詩「わたしをとなえる」


ごめんなさい
といいながら頬を叩き
ありがとう
といいながら背中を向ける
うれしい
といいながら冷たい涙を流し
ゆるさない
といいながら抱きしめる

人は矛盾ばかりで騙されてばかり
自分でさえ自分を騙すのだから
思い通りにいくはずなんてないじゃないか
写真や鏡を見てごらんなさいとあなたがいった
本物はもとから虚像にまぎれていると
嫌いなものに理由をつけて
好きなものには理由はいらない

わたし わたし
これはわたしだけのものだと
唱えて笑うのだ



月刊詩誌ココア共和国2020年1月号掲載作品(電子版)
佳作入選詩を改稿


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