ペーパーウェル12感想
2024年5月24日〜6月2日まで開催された第12回ペーパーウェルが終了しました。
今回私は、短歌+写真(青空に咲く満開の藤)にて参加させていただきました。たくさんのダウンロードとコンビニでのネットプリントをありがとうございました。
短編小説、自作品の番外編、本の書評、そして短歌と写真で参加してきましたが、次回はまた戻って何か文章で参加したいなぁと思います。今回の参加作品は折本が多かったので、私もまたムクムクと創作意欲が湧いてきました。そういった意味でもペーパーウェルではいつも刺激をもらっています。主催様、作家の皆様お疲れ様でございました。そして素敵な企画と作品をありがとうございました。また次回の13回目も参加したいです。
ここからは印刷した皆様の作品の感想です。
【画像①】
コラボ花うさぎ (文章:磯崎愛さん @isozakiai 、挿画&デザイン:うさうららさん @usaurara)
2011年に初めてコラボした『夢のように、おりてくるもの』の小咄「花を敷く」の折本。
タイトルの花を敷くって二重の意味があったことに読後気づいて上手いなぁと思った。人が大勢いる中の花見でも二人の世界は夢のように静かで美しく、「花びらが空を流れている」という描写が素敵だった。思い出の花びらは特別で、きっと枯れることはないでしょう。
みずのしまこさん @samidaress
短編小説折本「あの日の空の色」
確かに『お付き合いする』って違和感ある言葉の使い方ですよね。ひとの気持ちを空色に例えることが多いように、やっぱり地上人(日本人)特有のぼかした言い方なのかな。茶化したあとのラストの台詞が見事で思わず笑顔になりました。
みたかさん @hitomi_no_tsuki
短編小説折本「今日も明日も」
いつもと変わらない、『お母さん』と『私』のある夜の話。
高校生の『私』に関する姿の描写が少ないのは、母の無関心が起因しているからでしょうか。6P『濁った黒の代わりに夜空が手の中に生まれる』という文章が印象的で好きです。個の明記がない『私』は、男でもありえるかもしれない。真昼はどんな姿なのだろう、いろいろ余白の想像が浮かぶ。
つきくも(月雲)さん @xxxyueyunxxx
短編小説折本「四角い空」
現代が舞台のほのぼの系作品。
私も一時期入院してたことがあったので、タイトルがまさにいい例えだなぁと思いました。何度窓の外を見て気を紛らわしたか。憂鬱なのはその四角の狭い空間に映る空は動いているのに、自分の現状は動けないということ。その分二人の会話が小気味よくて、気持ちも晴れる様でした。
たぴ岡さん @milk_tea_oka
短編小説折本「いちばんぼしに とどくまで」
星空に憧れる少年と自称マジメな天使のお話。
このふたりのじゃれ合いが楽しい。強がるような、誤魔化すような、不器用で優しい天使さんとぼくの同居生活。本編が今後あるかもしれないらしいので、再会できたらお迎えしたいな。
せらさん @gotoromanempire
「白でも灰でも碧くても」
現代ドイツが舞台の恋愛小説
『人の歩みは、自分が手にすることができるものと、そうでないものとの永遠のせめぎ合いだ』という彼の言葉が印象的で確かに…と文学的な余韻を感じました。国が違えば天候も違う。ドイツの建物って景観が美しくて、実際その場に立ったら圧倒されそうですね。
一福千遥さん @ichihukuchiharu
掌編小説集「盃天記」
国を覆う大空を真白き盃に映すひとたちと、盃に宿る精霊・皓が紡ぐ6つの物語。
盃を渡す者、受け取る者、寄り添う者、重い責任を背負う孤高の王たちだと思ってたけれど、盃が精霊だったと気づくとき、孤独はどちら側だったのかと、なんとも言えず切なくなった。なんて壮大な物語なんでしょう。
うめおかかさん @umeokaka4110
ファンタジー小説の折本「魔法のようで魔法ではない」
魔法使いの二人が空を目の前にして語らうお話。
空を自由できないのと、空を自由にしない、では心の持ちようが違うし、鬱々としているときに雲間から青空が見えたら励まされているようで確かに嬉しくなっちゃいますね。魔法は万能であるけれど、今でいうならAIみたい。つかいどき、ですね。
【画像②】
すずみさん @suzumi_osirase
短編小説「浮島の怪物」
空に浮いている島に建つ廃墟に、異常が無いことを確認しに行くおはなし。
空飛ぶ夢のような島なのに不穏感漂うファンタジー。飄々とした人と隔離されたなにか、理由が分からないまま響くんの不安がこちらにも伝染するようで、またそれが面白い。静かでつまらない、は別の人にとっては理想ともとれる感覚かも。『雲が草むらを渡る音』という表現がいいですね。
ななさん @nano1257
「そらのたび」
写真・短歌・エッセイの雑談ペーパー。
いつもとは違う場所から、景色、体感など見たものをそのまま伝えることって難しいんですが、それがとてもリアルに伝わってきます。『雲は空の一部ではなく海の一部のように見える』、こういう緻密な詳細を書けるのって凄いです!旅というワクワクを隣にいて一緒に共有しているようでした。
伊東柚月さん @yudukiIT
写真と五行歌8首のA4ペーパー。
文字の背景のにじみに濃薄それぞれ違うのが、空の色んな青さを表現しているようで、また水に浮かび上がっているようにも見えて素敵ですね。『わたしを脱ぎたいと〜』が歯がゆさと切なさがあって特に好きです。
ゆりなあと愉快な船さん @yuri_summers
「うつろひのさなかに居るか青嵐」
五月の空の景色から小さな詩文集。
和風のデザインがおしゃれで素敵。空のイメージをふくみながら日常のなかの想い、感情、また季節など、風流で情緒があってどの詩もよかったです。詩の補足のように繋がっているのも、こういう表現もあるんだなぁと新鮮でした。「明滅を〜」が特に格好良くて美しい。
Microalgae Design Lab. クンショウモさん @Microalgae_D_L
「空が近い町」
空の近くにある町ペルーの風景。
青空に映える大きな曇、連なる山や地表、首都クスコの道端に座る人々や道中の動物などが色鮮やかに写っていて楽しい。大きな木が少ないとか、現地に行ったからこそ感じる印象があって貴重な写真に隅々まで目を凝らして見てしまった。そしてペルー料理、すっごく美味しそうです!
森野透さん @f_toumei
短編小説「レインドーム」
レインドームという不思議な置物を拾うお話。
現実とファンタジーの境目がわからなくなるような、ちょっと怖くて奇妙な出来事だったけど、雨をとじこめるスノードームと風巻き立つような竜の飛翔シーンは神秘的で綺麗。静かな日常に起きた主人公の体験にわくわくもして、素敵なお話でした。
【画像③】
みぎのぎこさん @talking_sunday
ポストカード
グレイカラーが渋カッコイイですね!読書手帳に貼って何度も眺めています。
8パターンの空のイラストは、どれもが綺麗で神秘的。一番好きなのは、草と水と街並みの空です。この折本は画像②に。
雨庭有沙さん @ameniwaarisa
ありねこちゃんと空にまつわる掌編のポストカード。
切り抜いて空にかざして撮影も楽しめる仕様とのこと。そんな楽しみ方もあるなんて!面白いですね。夢現のありねこちゃんに私もつい空を見上げたくなりました。
碧乃そらさん @hane_ao22
短歌連作六首「とびたつ」。
いろんな『空』があって多彩で想像力が湧き立ってくるよう。固定観念が緩やかに解れていく。特に、アスファルト〜と、にじいろ〜が好きです。
すずめさん @MitotoSayo
コロロースカイ、某紀行番組風の写真集8P折本。
なんといってもコロロちゃんが可愛い。自然や雑路地関係なくどこへでもふわふわと漂よう。4月に東京へいってきたけど、また出掛けたくなってきました。
まなつ∣トランクランさん @tranchran
「WINDOW」
モノクロ線画に空の写真をコラージュしたもの。
窓からのぞく空がカラーでモノクロイラストの効果なのか、より鮮やかに浮かび上がります。自分でシールを貼ったり色を塗ったり、追加のコラージュをして完成させることもできるそうで、また新しい発想が楽しい。可愛いし、これこのままブックカバーにしても良いかしら。何度も眺めていたい。
ワタリマコトさん @WatariMakoto
きまぐれ刊 ふよらか (準備号)
ワタリマコトさんの描く淡い色彩がほんとうに大好き。ふよっとのんびり、ついていきたくなる。おはなしの『お星さまとおさんぽ』も童話の絵本を読んでいるようで、可愛らしくて癒やされました。
うさうららさん @usaurara
『短歌ハッシュ』5月号
緑の鮮やかな季節に山間をゆく旅人をテーマにした絵と「空」を詠み込んだ短歌8首。空色の数ほと詠む歌がある。参加者みなさんの作品全部が素敵だった。句読点や「」入りの歌の使い方まで多彩ですね。
鳥鳴さん @tokiriminaoki
夜空のブックカバー。本よりもカバーを見せびらかすために外に持ち出したくなるほど綺麗。本に巻きやすいようにB4で印刷しました。単行本サイズにぴったりです(画像④)。
以上22作品を印刷させていただきました。
素敵な作品をありがとうございました!
ではまた、次回のペーパーウェル13のテーマアンケートと開催を楽しみにしております。
2024年6月、幻ノ月音
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