広告から見る、ジェンダー平等・多様性〜事例PART①
こんにちは。ご訪問いただきましてありがとうございます!
一般社団法人パートナーシップ協会です。
ジェンダー平等や多様性に向けた広告ガイドラインの制定事業をはじめ、「ジェンダー表現とメディア・広告の在り方」をメインに、noteにて配信を行っております。今回は2つの事例を取り上げ、これからのジェンダーと広告表現を考えていきます。ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
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今回のテーマは世界の常識と日本の広告です。
前回の記事は、ジェンダーバイアスに因んだ国内で炎上した広告表現をご紹介させていただきました。これから、日本の広告が世界からどのように見られているのかという視点を持ちながら、日本の事例にも注目していきます。
日本の広告は、ジェンダーの問題意識が進んでいるかどうかを、もっと状況を客観的に把握し、心がけるべきことや改善策の必要性を感じていただけると嬉しいです。
1. 世界から抗議を受けた日本の広告
日本経済新聞社が2022年4月4日の朝刊に掲載した漫画の全面広告について、国連女性機関(UN Women、本部・米ニューヨーク市)から抗議を受けていたことが4月15日判明しました。
(※参照 日経の広告に国連機関抗議 新聞全面に女子高生の絵(共同通信) - Yahoo!ニュース)
この全面広告は、日本の高校生を描くマンガー——人物像と画風がとても日本らしくて、国内では一見して違和感を抱く人が多くはないと思われます。「クールジャパン」(※1)の一環として、「可愛らしい」マンガーは、世界に日本の魅力をより一層共感していただけるものだ、と考えやすいです。
しかし2022年現在、このような表現はもう時代遅れなものになるとの見方もあるのではないでしょうか。新聞社は他社のコミックを掲載しようとする際、全面広告としジェンダー平等・多様性という視点から適合するかどうかを、検証していく必要性が求められ時代になったと言えるでしょう。
そして広告は日本国内だけでなく、海外の視点も抜きにすることはできない、ということを思い出させてくれました。日本国内で、「皆でジェンダーギャップが低くジェンダーへの理解が低いから、指摘し合わなければ大丈夫」と鷹を括っていても、海外から指摘をされてしまう危険性を孕んでいることを忘れてはなりません。国際社会である以上、ジェンダー平等や多様性の不理解は、日本の理解力の低さを露呈し、恥をかきかねません。
2.世界レベル!?日本の広告
一方、日本でもジェンダー平等の事例について、良い事例もあります。化粧道具などの販売を取り扱う貝印株式会社では、脱毛に関する斬新な広告を発表し、話題になりました。
貝印社で実施した「剃毛・脱毛についての意識調査」では、「気分によって毛を剃っても剃らなくても良い」と思う人が80.5%という結果。脱毛をしなければいけないという常識から一歩引いて、脱毛の多様な価値観を伝える広告です。
海外では性の固定概念、身体の嗜好の固定概念へ法規制が進んでいる
イギリスでは、2019年にASA(英国広告基準局)は性の固定概念をなくす法規制を施行しました。
例えば、Femfresh社のビキニライン用シェービング製品の広告は掲載後
4ヶ月で掲載禁止されました。
女の子はバレリーナ、男の子はエンジニアに将来なりたいなどの表現にも規制がかかりました。
日本の広告はまだまだ多様性とは遠いところにいます。例えば脱毛の広告はある種の身体的な特徴を正義としかねません。その点、貝印の広告は日本で非常に革新的、先進的だと言えるでしょう。これからの他社の広告にも期待が高まります。
ジェンダー平等・多様性が広告に変化を起こしている理由
いかがでしたでしょうか。日本の広告表現からジェンダー意識の変化を捉えますと、バイアスとパイオニアが並行していることがわかります。今回事例として取りあげた貝印社は、化粧道具などを扱う企業です。性別問わずネイルや化粧をする時代、貝印社がジェンダー問題に配慮した広告を掲載するのは当然かもしれません。
しかし一方で、その他の化粧品会社や多くの脱毛サロンがバイアスを考慮した広告を配信しているか、バイアスを生産してしまっているか、と言えばまだまだ懸念が残ります。
広告表現は複雑な様相があります。しかし実際、世の中に変化が起きている理由は、決して「時代に即したら無難だ」というような安易な考え方が社会に持たれているからではありません。
広告表現は多様性のある方向性に向かっています。ジェンダー問題と多様性を理解するのは、一朝一夕には難しいかもしれません。専門家やガイドラインを活用し、ジェンダー表現をぜひアップデートしてみてください。
ジェンダーと広告に関するご相談やお悩みを募集しております。
次回もジェンダーと広告をテーマにご紹介をしていきます。
お楽しみに!!!
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