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ハイデガー『存在と時間』-あなたの生きる意味は、世界のどこかに隠れている?|8分で学ぶ!


森の小屋で思索にふける哲学者が、人間とは何か、存在とは何かを問い続けました。それがマルティン・ハイデガーであり、彼の代表作『存在と時間』です。この本は、「存在(Sein)」の意味を探る旅です。難しそうに感じますが、日常に深く関わるテーマなので、とても身近に感じられます。哲学に興味があるなら、ニーチェの『ツァラトゥストラかく語りき』やサルトルの『実存主義とは何か』も手に取ってみると、ハイデガーの問いがもっと広がります。現代の忙しい暮らしの中で、自分を見つめるきっかけを与えてくれる一冊です。

哲学書の中で難解とされる著書ですが、
わかりやすくまとまってると思います!
それではいってらっしゃいませ☕



◎歴史的背景

ハイデガーは1889年にドイツで生まれ、哲学者として活躍しました。『存在と時間』は1927年に出版され、当時のヨーロッパは第一次世界大戦後の混乱期でした。社会の価値観が揺らぎ、人々が「生きる意味」を見失う中、ハイデガーは新しい哲学を模索します。彼は、師匠であるエトムント・フッサールの現象学を学びつつ、ニーチェやキルケゴールのような実存主義の影響も受けています。それまでの哲学が「物」や「神」を中心に考えていたのに対し、ハイデガーは「人間そのもの」に目を向けました。後に彼がナチスに関わったことは議論になりますが、この本はその前の純粋な探究の結晶です。

◎『存在と時間』主な主張

『存在と時間』は、「存在とは何か」を解き明かそうとする本です。ハイデガーの考え方を、わかりやすく、深く掘り下げて説明します。

①此在(Dasein)とは何か: ハイデガーは人間を「此在」と呼びます。これは「そこに在る存在」という意味です。石や木はただ「在る」だけですが、人間は「自分が在ること」を考えることができます。例えば、朝起きて「今日も生きている」と感じるのは、私たちだけです。この「此在」が、存在の意味を考える出発点です。ハイデガーは、哲学がずっと忘れてきた「存在そのもの」に目を向けようとしました。

②世界内存在(In-der-Welt-sein): 此在は一人で生きているわけではありません。身の回りの物や人と一緒に「世界」にいます。例えば、朝、お気に入りのマグカップでコーヒーを飲むとき、そのカップはただの物ではなく「飲むためのもの」として自然に手に馴染みます。普段は気づかないけれど、カップが割れたり取っ手が取れたりすると、「あ、これがないと困る」と感じますよね。これは、物が「世界」の一部として私たちとつながっている証拠です。ハイデガーは、私たちが物や人といつも一緒に生きていることを「世界内存在」と呼びました。たとえば、自転車に乗るとき、それが「移動するためのもの」としてスッと使えるのも同じです。

③気遣い(Sorge)という生き方: ハイデガーは、人間の生き方を「気遣い」と表現します。これは、過去に縛られ、未来を思いながら生きることです。例えば、朝、仕事の予定を考えるのは未来への「気遣い」ですし、子供の頃の記憶に影響されるのは過去への「気遣い」です。私たちは、いつも時間の中にいて、「今」を生きながら過去と未来をつなげています。この「気遣い」が、人間を特別にしていると彼は言います。

④死への存在(Sein-zum-Tode): 死は誰も避けられません。ハイデガーは、死を意識することが大事だと言います。普段は「いつか死ぬ」と考えないようにしていますが、それでは「自分らしい生き方」を見失います。例えば、余命宣告を受けた人が「本当にやりたいこと」に集中するように、死を意識すると何が大切か見えてきます。これをハイデガーは「本来的な生き方」と呼びます。逆に、死から目をそらすと、「みんなと同じ」平凡な日々になってしまいます。

⑤世人(das Man)との関係: 私たちは、つい「みんな」に流されます。例えば、流行の服を買ったり、SNSで同じ話題を話したりします。ハイデガーはこれを「世人」と呼び、個性が埋もれる状態だと考えます。でも、「世人」から離れて「自分だけの生き方」を選ぶのは簡単ではありません。それでも、自分を見つめることが、存在の本質に近づく一歩だと彼は言います。

これらの考えは、抽象的ですが、私たちの毎日に根付いています。ハイデガーは、哲学を遠いものではなく、生きることそのものに引き戻したのです。


◎まとめ

『存在と時間』は、哲学の本質を「存在の意味」という問いに戻しました。ハイデガーは、「此在」を通して、人間が世界と深く結びついていることを示します。私たちは道具を使い、他者と関わり、時間を生きる中で「存在」を感じます。この考えは、現代でも大きな意味を持ちます。例えば、スマートフォンが単なる物ではなく、生活の一部として「世界」に溶け込むのは、「世界内存在」の一例です。また、「気遣い」は、家族や仕事への思いやりとして、誰でも経験します。

さらに、「死への存在」は、人生の有限さを気づかせます。忙しい現代人は、つい「いつまでも続く」と思ってしまいますが、ハイデガーは「終わりがあるからこそ意味がある」と教えます。例えば、コロナ禍で命の脆さを感じたとき、多くの人が生き方を考え直しました。「世人」への警告も、今に響きます。SNSで他人の目を気にしすぎる生活は、ハイデガーが言う「本来的でない生き方」に近いです。

哲学を超えて、彼の思想は人間のあり方を問います。AIが進化し、環境問題が深刻化する2025年、私たちは「自分が何者か」を考える必要に迫られています。ハイデガーは、その答えを簡単には与えませんが、問い続ける大切さを教えてくれます。この本は、単なる理論ではなく、私たちの「生きる姿勢」を揺さぶる一冊です。


◎現代ハック的見解

「世人」を日常で考える

『存在と時間』の「世人(das Man)」は、現代に活かせる視点です。ハイデガーは、「みんなと同じになること」を「世人」と呼び、個性が埋もれると警告します。例えば、SNSで流行を追うあまり、自分の好きなことがわからなくなるのは「世人」に流された状態です。
この対策として有効なのは例えば、みんなが動画に夢中でも、本を読む時間を意識的に作るとか。すると、他人の目を気にせず、自分のペースが戻ります。彼は、「世人」から離れるのが簡単ではないと認めつつ、自分を見つめる大切さを説きます。

日常では、買い物がいい例です。流行の服を買うか、自分に似合う服を選ぶか——後者は「世人」から少し離れる選択です。私が試したのは、スマホを1日みないことです。最初は不安でしたが、他人の投稿やありふれた情報を見ない時間が、自分を考える余裕になりました。ハイデガーは、「世人」に埋もれず「本来的な自分」を探す生き方を勧めます。現代では、みんなの意見に流されがちですが、小さな習慣で自分らしさを取り戻せます。

このnoteを最後まで読んでくれたあなたはもう、「世人」に流されないチャンスを手にしています。小さなことからはじめて行きましょう!“自分らしさ”や“個性”などをもっと考えて見たい方は、ニーチェの超人思想もオススメですよ🏋️




いかがでしたか?ここまで『8分で学ぶ』ことはできたでしょうか?今回は少し難解出したかね?😭哲学研究者泣かせである『存在と時間』は未完であり、ハイデガー本人が途中で力尽きたとされるので、人によって「なにこれ?」「どういうこと?」みたいな意見もあるかと思います。ただ未完だから議論できる余地があるのも、この著書の魅力の1つです🕺



※本記事は『存在と時間』を簡潔にまとめたものです。すべての解釈を網羅しているわけではありません。正確さに気をつけていますが、詳しく知りたいときは原典を読んでみることをおすすめします。


















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