ジェンダー課題のリアルを知ったことで、アクションする大切さに気づいた私の話
このnoteは、「ジェンカレ」を修了したゼミ生たちのプログラム中とその後の活躍を紹介するインタビュー企画。
それぞれが日々感じる違和感を出発点に、ジェンダー平等社会の実現に向けて歩み続けるゼミ生たちのストーリーをご紹介します。
【はるかのプロフィール】
東京都出身、津田塾大学在学の22歳。
男性学、メディアにおけるジェンダー、女子大学のトランスジェンダー受け入れ等のジェンダー課題関心がある。
Q1. なぜ、ジェンカレゼミ生になろうと思ったのかを教えてください
私は女子大学に通っているため、ジェンダーについて触れる機会が多かったのですが、どうやって自分の生活に活かせばいいのかわからなかったからです。
世界で起こる男女不平等、LGBT差別について知識を得られているが、自分ごととして捉えられていなかったんです。なぜ自分ごととして捉えていなかったかというと、女子大学という環境で、日常的に女性だからという理由で差別を受けることがなかったことが大きな理由です。自分の身の回りにはジェンダー課題はあまり転がっていないのではないかと思っていました。
そのためジェンカレゼミ生に応募した当初は、具体的なアクションについてはあまり考えられていませんでした。その時は広告やメディアとジェンダーについて関心があり、メディア業界への就職も考えていたため、ジェンダーについて詳しくなりたいなという漠然としたモチベーションで応募しました。
Q2. ゼミ生になって良かったと思うことを教えてください
自分にできることを一歩ずつでもいいからやってみようと思えたこと。 会社を変えるために活動するゼミ生や、政治参加についてのアクションをするゼミ生がいて、最初はその規模感に圧倒されてしまいました。なんの団体にも所属していない、アクションもしたことない。そんな私にできることはあるのだろうかと不安になることもありました。しかし、ゼミ生の中には通っている学校の先生に直談判している人や、友達にアプローチしようとしている人など、自分のすぐ近くにいる人から変えている人がとても多くいました。
また、会社などの組織を変えようとしているゼミ生も、まずは自分の周りの人とコミュニケーションをとることから始めていました。
これを見て、最初から大きいことをしようとするのではなく、自分のすぐ近くの人から変えるアクションをすることが大切だと気づきました。
ジェンカレには、すでにアクションしている人や、私のようにこれからアクションに踏み出そうとしている人、さまざまな人がいます。そして、ジェンカレにいる誰もがジェンダー平等に向けて本気で取り組もうとしています。ゼミ生の話を聞くととてもエンパワーされます。
また、自分がやろうとしていることについて仲間から絶対に応援してもらえるので、高いモチベーションでアクションに取り組むことができます。
Q3. 学びになった、興味深かった講義やプログラムを教えてください。
山口のり子さんの『Gender Based Violence』の授業です。
夫婦やパートナーが抱えるトラブルについて、どこからがDVで、どこからが「仕方ない」ことなのだろうとずっと疑問に思っていました。自分にも、当事者性があると感じていたからかもしれません。
この講義の中で、DVは、加害者が相手を支配することを目的に、力と権力を使って有意な立場に立ち、支配する関係を作ることだと学びました。
また、加害者が再生産されていくのは、家父長制の社会制度、ガラスの下駄、女性への差別などの社会に蔓延る女性差別が凝縮された結果だということがわかりました。
加害者が被害者を支配し、責めることで、被害者は自分を責めるというDVのパターンを紹介されたときに、複数の友人の顔が思い浮かびました。私はそのような子たちに「そんな人早く別れなよ」と言っていました。しかし、これも「被害者を責める」ことになってしまっていました。
講義の中で、日本ではDVは犯罪という意識が低いというご指摘がありましたが、自分でさえこのような発言をしていたため、自分のDVへの認識の低さゆえに、いつの間にか加害者側の味方をしていたことに強い焦りを覚えました。
Q4. ジェンカレで作成したMAP(My Action Plan)について詳しく教えてください
MAPでは、結婚、または同棲をするカップルに家事分担の話し合いを行なってもらうということを考えました。
なぜこのMAP内容にしたかというと、夫婦の家事分担に問題意識を抱えていたからです。幼少期に自分の両親が、家事分担が原因でよく喧嘩をしていた経験から、このMAPにたどり着きました。
話し合いを実施してくれた人に家事に対する不満についてヒアリングしたところ、女性は「家事の分担が偏っていること」に不満を持ち、男性は「家事のやり方がわからない」「家事をしても褒めてもらえない」が挙げられました。
その結果から、家事分担に対して望んでいることは「もっとコミュニケーションの時間を取ること」かもしれない。ここに着目して、夫婦に定期的な「家事分担に関する話し合い」を行ってもらうことを思いつきました。
また、家事分担には育ってきた家庭の影響が強いこともわかりました。高学歴女子のキャリア意識についての調査から、母親が専業主婦の家庭で育った女性は、共働き家庭出身の女性よりも「家事は自分がやらなくてはいけない」と考える傾向があることがわかりました。
ヒアリングや文献を参考に、単純に役割分担をするだけではなく、家事に対する価値観を確認し合う話し合いをしてもらうことを次のステップで実施しました。
カップルがお互いに生まれ育った環境での家庭の家事分担の状況を確認し合いながら、「自分たちはどうやって分担をするか」を考える話し合いを、それぞれのカップルにやってもらいました。この話し合いを行うことで、家庭内の性別役割分業の解消を目指すことも目的としました。
Q5. ジェンカレ中に取り組んだアクション(トライしたこと)を教えてください。
①主語を小さくすること
「男は」「女は」といった主語を使っている人に「みんながみんなそうではないよね」と、一言声をかけるようにしていました。ジェンカレ参加中に代表の櫻井彩乃さんから「主語大きいよ!」と何度も言われたからです。
一括りにしてしまうと、立場の違う人の声が聞けなくなってしまいます。
これまでの私は「男性はみんなこうだ」という発言をしてしまいがちでした。私は今まで「男性は皆強くなりたがっている」という決めつけが自分の中にありました。
しかし、『男性学』の講義から、「男性らしさ(強くあるべき、お金を稼ぐことが期待される、など)」の押し付けに苦しむ男性が多くいることを学びました。
「男はみんな〇〇だよな」と言う人に対して、
「その人はそうかもしれないけど、みんながみんなそうではないよね」と、一言添えるようにしました。
大きい主語をやめることで、自分が会話の中で男性に「男性はみんな〇〇」という価値観の押し付けをしないように心がけました。
自分が大きい主語を避けると、「男性にも色々な人がいる」という前提が、頭の中に自然とできるので、色々な男性の声に耳を傾ける習慣ができました。
②「ジェンダー平等先進国」のリアルを知る
ジェンカレ受講中にフィンランドへ留学をしていました。
この写真は、フィンランドの高校で行われている性教育の授業の一場面です。ここでは積極的に友達や先生にジェンダー課題について投げかけました。
しかし再び、主語が大きかったなと反省することに...
フィンランドに行くまでは、「フィンランドの人はジェンダー意識が高い」と思いこんでいましたが、人によりますし、まだまだ課題は多いことを知りました。
「平等なのは一部だけ」という人もいれば、「フィンランドはもう十分ジェンダー平等だからね」と言う人もいます。「北欧にいけば女性差別のない幸せな暮らしができる!」と勘違いしていましたが、ジェンダーの視点でみると先進と言われている地域でも日本と同じ問題を抱えていることを知りました。
フィンランドにも課題があることに絶望するのではなく、フィンランドで行われている課題解決のための取り組みをどうやって自分の社会(日本)に還元するかを考えています。
Q6. ジェンカレ終了後から現在までに取り組まれていること、取り組みたいと思っているアクションがあれば教えてください。
①各大学で行われている、女子学生やLGBTQ+の学生に対する取り組みを共有する団体を立ち上げました。
2024年2月に東京大学で『性的指向と性自認の多様性に関する学生のための行動ガイドライン』が発行されたとき、このようなガイドラインを自分の大学でも作りたい!と思ったことがきっかけです。
自分の大学でトランスジェンダー女性の受け入れが始まりましたが、受け入れ環境の整備が必要であると思い、他の大学と情報共有することにしました。
②自分の大学内の「ジェンダーに関心はあるけど、自分は当事者じゃない」と思っている学生に向けての取り組み
私の通っている大学ではジェンダーに関する科目が豊富ですが、実生活に結びつけるのが難しいと感じています。男性やトランスジェンダーを敵対視する発言もしばしば見受けられます。
自分がジェンカレで学んだことを、大学に還元する方法を画策中です!
Q7. ジェンカレゼミ生になる前の自分、またはジェンカレ中の自分に声が届くとしたら、何を伝えるか教えてください。
絶望してばっかじゃ何も変わらない。
少しずつ行動することが大事!自分にも変えられるよ。
Q8. あなたが思うジェンカレの魅力を教えてください。
日本のジェンダー課題について包括的、かつクリティカルに学ぶことができるところです。情報収集能力、情報リテラシーも上がります!特に第10回の労働とジェンダーの授業で、さまざまな統計データから労働現場で女性が不当に扱われていることを確かめることができました。
また、自分の思い込みと反する結果を得たので、正しい情報を得ることの大切さを学びました。
ジェンカレでは、抱えるモヤモヤを行動につなげるには確かな情報が必要だということを学びました。
Q9.ジェンカレに参加しようか迷っている方へ!
SNSでジェンダーを勉強しているという方、ぜひ、ジェンカレに足を踏み入れてみましょう。「ジェンダー」を偏見で語ってたことに気づくはず!
多くの仲間とエンパワーし合って、自信をもって活動できるようになりますよ。
3期目ゼミ生・聴講生募集中
現在ジェンカレでは、「ゼミ生(申込締切:2024年8月18日23時59分まで)」「聴講生」を募集しており、講義の詳細、及び募集要項は下記リンクよりご覧いただけます。https://gencollege.org/
また、ご参加に際し、以下の日程で説明会を開催します。
【オンライン説明会】
・8月11日(日)10:00-11:00, 質疑応答11:00〜(退出可能)
・8月11日(日)20:00-21:00, 質疑応答21:00〜(退出可能)
説明会申込フォーム:https://forms.gle/mT9gcuPF2cARozb67
ジェンカレに参加する方法は2パターン!
■ゼミ生
・学ぶだけで終わりにせず、ジェンダー平等の実現に向けて一歩踏み出すことができる・講義だけでなく、合宿やメンタリング、じっくり深く学ぶためのゼミ生限定コンテンツなど、ジェンカレが提供するコンテンツを堪能できる
・対象年齢:15〜29歳
・その他:減免制度あり
・申込み:https://forms.gle/nANgrznrRMv9XiEu6 (2024年8月18日(日)まで)
■聴講生
・ご自身の興味関心にあわせてお好きな講義(座学部分)を聴講できる
・年齢や居住場所に関係なく受講が可能です。
・カリキュラム:講義の一部(90分間)
・対象年齢:年齢制限なし
・申込み:https://gencourage2022.peatix.com/events (先着順のため、定員に達し次第終了)
特に30歳未満の方には、ゼミ生向けのカリキュラムが非常に充実しておりますので、ゼミ生をお勧めいたします!
ジェンダー平等の実現に向けて、共に学び、一歩踏み出しましょう!
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