映画:青いライオン 自閉症版画家の半生
愛媛県新居浜市の自閉症の版画家 石村嘉成さんの半生を描いたドラマ&ドキュメンタリーの映画の先行上映が新居浜市のtohoシネマで始まりました。
これから全国公開に進むようです。
ネタバレ含めて感想を綴りたいと思います。
自閉症の版画家 石村嘉成さん
先に新居浜市在住の自閉症の版画家 石村嘉成さんって誰?といった方向けに上記のサイトと、父 石村和成さんのコメントをサイトより引用させていただきました。
嘉成さんは、私の次男も卒園した保育園を卒園しており、当時の保育士の方からも嘉成さんのことは伺っていました。
他、通常学級、普通高校へ進学し、高校で出会った美術教師によって版画の才能を開花させていきます。
美術教師の方とも、仕事で学校のインターンシップの受け入れの際に繋がりが出来、色々とお話をする機会があります。
父の和成さんは息子の育成、作品の広報に力をいれるだけでなく、障がい児の親の支援にも積極的に取り組まれていて、ペアレントメンターにも登録されています。(実際に活動にも参加されています)
そのようなご縁もあり、今回の映画には他人事と思えぬ期待を抱いていました。
映画上映にかける想い
映画上映の2日目には舞台挨拶も設けられていました。(初日は新居浜太鼓祭りの最終日で最も祭りが盛り上がる日だったため、避けたと思っています)
また、舞台挨拶の日以降も、ほぼ毎日、上映前には劇場前に親子で鑑賞者をお迎えし、ポストカードを手渡ししていました。
お祝いの花にはウッチャンナンチャンの南原清隆さんの名前もありました。
並々ならぬ想いが伝わってくる上映前の雰囲気でした。
映画の感想
オフィシャルサイトの父の想いの中でも紹介がありますが、嘉成さんが9歳の時に最愛の母が亡くなります。
映画の中では最もつらく、悲しい(映画的には見せ場になる場面)ところです。
言い方は悪いかもしれませんが、お涙頂戴の場面で観客に最も訴えかける場面のはずですが、この場面が本当に淡々と流れていきます。
亡くなる姿も見せず、生きて一緒に動物園に家族で行った楽しい想いでのシーンも淡々と描かれていました。
動物園で母親が夫に 「私、悔しい」 と本音を漏らすシーンがあります。
その言葉に対して何も声をかけられない姿がとても印象的でした。
自分に置き換えても かける言葉が見つからない といったところが本音でしょう。
母が亡くなる、最も劇的なシーンが淡々と描かれることで映画内で感動の涙を流すことはありませんでした。
ただ、最も印象に残るはずのシーンを淡々と描くことで
嘉成さんの半生で 人生を変えてる出会い 恩師のことをしっかりと紹介する事が出来ていました。
トモニ療育センターのセンター長、浮島小学校の校長先生、新居浜商業高校の美術教師。
恐らく母親が亡くなるシーンを描きすぎていれば上記の恩師の印象が映画内では薄れてしまっていたと思います。
個人的な感想で憶測でしかありませんが、恩師への感謝の気持ちが映画に込められていると感じました。
もちろん、母の死を乗り越えて今があると思いますが、亡くなる姿を映画で目にするのは本人には耐えがたいものです。ご家族で何度も見返すことになる映画で目を覆うようなシーンを避けたのも一つの要因かもしれません。
まとめ
感想が、嘉成さんのお母さんが亡くなるシーンの事に偏ってしまいましたが、過去のストーリーと現在ドキュメンタリーを行き来しながらの内容になっていて見やすい印象でした。
上映時間も80分と1時間半以内という点も、リピートできるサイズ感でした。
おすすめしたいと思う映画です。
が・・・、あくまで私が自閉症の次男を育てていて映画の中での共感によっての感想です。
自閉症の特性のこと、専門的な内容はあまり出てきませんので、障がい児育児の知識のない方でも共感できる内容になっていると思います。
ユニバーサルデザインムービーという言葉があるなら、この映画はそんな映画になる可能性があると感じた映画でした。