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私も猫に看取られながら旅立ちたい

『オットーという男』

<解説>
名優トム・ハンクスが町一番の嫌われ者の男を演じ、孤独だった男が隣人一家との触れ合いを通して再生していく姿を描いたヒューマンドラマ。

町の嫌われ者でいつもご機嫌斜めなオットー。曲がったことが許せない彼は、近所を毎日パトロールしてはルールを守らない人に説教を垂れ、挨拶をされても仏頂面で、野良猫には八つ当たりをするなど、面倒で近寄り難い存在だった。しかし、そんなオットーも人知れず孤独を抱えている。最愛の妻に先立たれ、仕事も失った彼は、自らの人生を終わらせようとしていた。ところが、向かいの家に越してきた陽気な女性マリソルとその家族が、なにかと邪魔をして、死のうと思っても死ぬことができない。しかし、そんな迷惑なはずの一家の出現が、彼の人生を変えてくことになる。

スウェーデン発のベストセラー小説を映画化し、第89回アカデミー外国語映画賞ノミネートされた「幸せなひとりぼっち」を、ハンクスの主演・製作でリメイク。「プーと大人になった僕」のマーク・フォースターがメガホンをとり、「ネバーランド」「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」のデビッド・マギーが脚本を担当した。

「映画.com」より


前々から気になっていた映画で、じっくり鑑賞する時間が取れたので、アマプラでポテチ片手にスタンバイ。
トム・ハンクスは大好きな俳優で、見始めてすぐ、今回の映画も間違いないと確信。
トム・ハンクスの演技が秀逸な作品でした。

何度も自殺を試みるオットーですが、その都度部屋をきれいに掃除し、自分が死んだ後の事を考えて、首つり自殺の時は、床に新聞紙を敷き詰めたり、ライフル銃での自殺の時は、血が飛び散っても部屋が汚れないように、ビニールシートで囲ったり。
シュールでどこかクスっと笑える場面が展開する。

主人公のオットーは、几帳面でルール違反が許せない性格で、頑固で偏屈。
愛する妻を事故で亡くした深い悲しみと孤独。住み慣れた自宅や友人たちを奪われることへの怒りがない交ぜになり、フラストレーションが溜まっていく。
オットーじゃなくても、人間長く生きていれば、理不尽に感じることも、言い尽くせない悲しみや割り切れない感情を、大なり小なり持っていて、それらを持て余しながら暮らしていると思う。
そうした言葉にならない自身の負の感情からの防御反応で、老人を短気で不愛想にさせるのではないか?
そんな時に、オットーは陽気で愛想の良い隣人に救われた。
私もさほど遠くない将来、オットーと似たような老女になっているかもしれない。
それでも出来ればオットーのように、猫に看取られながら安らかな最期を迎えたいと願う。





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