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夏休みが終わるという恐怖
もうすぐ夏休みが終わりますね。
我が子たちはすでに社会人なので、夏休みが終わる頃の慌ただしさはありませんが、子どもたちが小学生の頃はこの時期、夏休みの宿題を終わらせることに時間と労力を費やしていました。
そりゃもうやっつけ仕事です(笑)
毎度の事ながら懲りない親子でした。
育児電話相談員をしていた時は、相談の電話をしてきた母親よりも、母親の言葉を通じで見えてくる子どもたちの方に意識が囚われてしまいます。
この時期多くなる相談が「子どもが宿題をしない」とか「学校へ行きたくないと訴える」など、学校に関する相談が占めるようになります。
子どもが宿題をしないとか、生活リズムを元に戻すのが大変とか、そういった相談なら気持ちも楽に母親の話に耳を傾けられます。
そのうち夫や同居の姑の愚痴、仕事の不満などに話が移行することも良くあることで、思う存分ストレスを吐き出すと、母親もスッキリしたような声に変ります。
新学期始まる直前になって表情が暗くなる子どもたちもいます。
「学校へ行きたがらない」とか「ちょっと様子がおかしい」など、子どものちょっとした変化を心配して電話をしてくる母親もいます。
幼稚園や小学校低学年の子どもなら、1学期は頑張って心の糸が張り詰めた状態なのかもしれません。年齢が低ければ低いほど成長も早いです。
原因探しはひとまず横に置いといて、子どもを休ませてあげてください。
ところが小学校高学年から高校生くらいになると、自分でも学校に馴染めない理由が分かっています。(潜在的にある心の傷には気付いていない場合もあります)
家出が多くなる年齢もこの年頃で、家出がもっとも多くなるのが8月です。
家庭の中に自分の居場所を見失い、家族にもそんな素振りを見せず、突然家出をしてしまう子どももいます。
そして残念ながら子どもたちの自殺が最も多いのは9月1日です。
コロナの影響などで地域によっては違いがあると思いますが、始業式がある日となります。
自殺の原因で最も多いのがいじめなのですが、夏休み中に気付いてあげていれば我が子の命を守ることにつながります。
まずはじっくり子どもとの会話の時間を作り、話を聞いてあげることが大切です。
子どもの話を聞いていると「たったそれだけのことで」とか「心が弱いから」など、大人からすると些細な事柄と思えることで悩んでいる場合があります。でも子どもにとっては死にたいと思い詰めるほどの大問題です。
突き放すような言動は控えてその辛い気持ちを受け止めてあげてください。自分たちはあなたの味方でいつも傍で守っているからねと安心させてあげて欲しいのです。
そしてなるべく早く専門機関に相談をしてください。
一時的に学校を休ませるという選択をして欲しいです。
子どもが望めばフリースクールなど、学校と同等のサポートが受けられるところもあります。必要なのは心の安らぎになる居場所を作ってあげること。
家出をしてしまう子ども。
自殺を選択してしまう子ども。
どちらもキーワードは『居場所』です。
自分が安心して過ごせる場所。
ホッとできる、居心地のいい場所。
自己肯定感、将来への希望を見いだせる場所。
そうした居場所が多ければ多いほど、安定した精神状態で過ごすことができるし、関わる大人が多ければ見守る目が増えます。
子どもにとっては親には言えない悩みも、年上の先輩格の人には相談できるかも知れません。
コロナでそうした環境を作りにくいかもしれませんが、探せばきっとあります。それが塾や習い事かもしれないし、地域の子ども食堂かも知れません。
人との関りを拒否する子どもなら、自然の中にあるかも知れません。
動物との交流で生きる力を取り戻し、笑顔で過ごせるようになった子もいます。
一本の映画が、一冊の本との出会いが傷ついた子どもの心を癒し勇気を与えることだってあるのです。
2018年に亡くなられた女優の樹木希林さんは、子どもの自殺が多発する9月1日に「死なないで、どうか生きてください」と入院中の病室の窓から祈っていたそうです。
同じように私も祈り、何かできることを見つけていきたいと思います。