かつて「あんなだったのに」のあなたへ贈る絵本
この絵本はたまたま立ち寄った書店で見つけて購入した絵本です。
ヨシタケさんの絵本は、どれもシュールでクスっと笑える、それでいて心の中が暖かくほっこりさせてくれるものばかりです。
この絵本はかつて子どもだった大人の皆さん、そして子育てに一息ついて、大変だった子育てを笑って思い出せるようになった親世代の皆さんにお勧めしたい絵本です。
私自身も「あんなに大変だったのに」「あんなに辛くて投げ出したいと思っていたのに」今はもう「こんなに幸せを感じている」「こんなに誇らしく感じている」と、子育て時代を感慨深く思い出していました。
長男は疳が強く、夜泣きは毎夜の事。
夜中に夫が運転する車で、助手席に長男を抱いた私が座り、真夜中のドライブ。
抱いてあやしても、お乳をふくませても泣き止まなかったのに、10分くらい車でドライブをするとストンと眠ってくれました。
大変なのは夫です。朝早くから夜遅くまで仕事で疲れていたはずなのに、夜泣きのドライブに嫌な顔をせず付き合ってくれていました。
そんな長男ですが、今では一度寝てしまうと揺り起こしてもビクともしないほどの熟睡ぶりを発揮し、「いまはこんな」を実証しています。
次男も、幼い頃は小児ぜんそくで、風邪を引けばすぐに肺炎になり、病院通いもしょっちゅうで、怪我や病気で何度か入院と手術の経験をしています。
でも今では、フルマラソンに挑戦するほどのスポーツマンに成長。
「いまはもうこんな」を実感できることだらけ。
きっと子育て中の方や、子育てを終えた方も共感できることが多いと思います。
絵本の中でも、掃除をして綺麗にしたばかりなのに「もうこんな」とおもちゃで部屋は散らかり放題。
さっきまで兄弟げんかしてたのに、まるでなかったかのように仲よく遊んでいる。
ぶかぶかだった服も、あっという間につんつるてん。
あんなに小さかったのに、今では自分の身長を追い越し「もうこんな」に成長しています。
赤ちゃんだったころの息子を抱っこしていたのは、つい最近のように思い出されるのに、今では孫を抱いている。
「あんなに あんなに 〇〇だったのに」
「もうこんな」
絵本を読み進めながら、それぞれの「あんなに〇〇だったのに」「もうこんな」のエピソードがいくつも蘇ります。
クスっと笑いながら、ひとつひとつの思い出が愛おしくてホロッと涙がこぼれちゃう。それは懐かしさと、あの時こうすれば良かったと後悔の念もあるからかもしれません。
そんな優しく、さり気ない愛情を確認できる絵本で、子育てを頑張ってきた自分に労いの感情が湧いてきました。