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成功のための5つのルール〜ロスチャイルド家〜

シャローム♡今週の『がんちゃんのイスラエル便り』は
ユダヤ人にフォーカスして”成功のためのルール”を紐解く第3弾!
世界的財閥として名を馳せるユダヤ系一家”ロスチャイルド家”について。

ユダヤ人は世界人口の僅か0.2 %(約1,300-1,700万人)にも関わらず、世界の大富豪の35%を占めている、という事実があります。

...誰もが知る秀でたユダヤ人といえば、映画監督のスティーブン・スピルバーグ、Facebookのマーク・ザッカーバーグ、Googleのラリー・ペイジ、Bloombergのマイケル・ブルーム・バーグ...など枚挙にいとまがない。

成功=富を築くこと と考えた時に
他の民族が知り得ない”成功の哲学”があるはず。

・前回の第2弾はこちら『成功のための5つのルール〜STARBUCKS COFFEE CEOハワード・シュルツ〜』
https://note.com/ganganganchan/n/nd994c6e587fe

・ユダヤ人国家”イスラエル”の基本情報は『入門編』をご覧くださいませ。
https://note.com/ganganganchan/n/ne96a3a839618

南フランス、コート・ダジュールにあるロスチャイルド邸
写真:リージェンシー・グループ株式会社
https://regency-grp.com/bridal/ceremony/style/villa-rothschild/

ユダヤの大富豪といえば、まず挙げられるのがロスチャイルド家。
しかし、巨万の富はもちろん一朝一夕で得られたものではありませんでした。
彼らの軌跡を辿ります。

①地道なファン作り

【ロスチャイルド家のルーツ】
ロスチャイルド家の系譜は、ドイツで熱心なユダヤ教徒の両親のもとに生まれた
マイアー・アムシェル・ロートシルト(1744-1812)から始まります。

マイアー・アムシェル・ロートシルト
写真:Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/マイアー・アムシェル・ロートシルト

ちなみに、”ロートシルト”はドイツ語で赤い表札という意味です。家の表札が赤かったことが由縁だそう。
よく耳にする”ロスチャイルド”は英語読みです。

さて、マイアーは将来ラビ(ユダヤ教の指導者)になることを期待され、
少年時代からラビ養成学校(旧約聖書などを研究する学者を育てる学校)にて、歴史と言語を学びます。

卒業後ドイツの銀行で金融の仕組みを学んだ後、故郷に戻ったマイアーは、
ラビ養成学校で学んだ知恵を活かし、古銭商・両替商になるのです。

キリスト教徒は清貧の思想があり、当時彼らの間で”汚い仕事”として嫌厭されていた金融業を、ユダヤ人が担うことになるのは自然な流れでもありました。

トーラーの巻物(モーセ五書)の損傷を調べるユダヤ人の男性
写真:COURRIER JAPON2019.9.1『ユダヤの大富豪ロスチャイルド家の”私有都市”カイサリア』
https://courrier.jp/news/archives/172736/

【合理的な商売】
マイアーの特筆すべき点は、現代の通販業の先駆けをしたこと。

急速に郵送業が発達し始めた時代の流れにのり、自身で作った古銭のパンフレットを富裕層にターゲットを絞って送り、郵便で注文を受け付け、商品を配達するという工夫を行いました。
小さなスタートから努力を続けた行いは功を奏し、彼の商売は拡大します。

高名な貴族や領主とのコネクションを築いたマイアーは、非常に裕福なヘッセン大公国の”ヴィルヘルム皇太子”に贔屓にされ、財務を任されるようになるのです。

ー「付き合う人の多くを味方にできれば、君の成功は何倍も早くなるだろう。」
ー「一度客になった人がずっと君の客になり、友人を紹介してもらうことができれば、君は一生客に困ることはないだろう。そのための紹介システムをしっかり作りなさい。」
引用:本田健『ユダヤ人大富豪の教え〜幸せな金持ちになる17の秘訣』(大和書房)

(イスラエルのテルアビブにある”Rothschild Street”は歩道が公園のようになっている、建国時にロスチャイルド家がした多大な貢献への感謝で名付けられたストリート名)

②リスク分散をする

【5本の矢】
マイアーは結婚して10人の子宝に恵まれますが、そのうち5人の男児に事業をさせるべく、英才教育をします。
そして、ナポレオン戦争で築いた一財で(ナポレオン戦争で綿花が不足していたドイツに対して、産業革命期でイギリスに豊富にあった綿布をドイツに売って一財を築いた)
フランクフルト・ウィーン・ロンドン・ナポリ・パリの土地に息子を送り込み、それぞれの土地で銀行業務を起こさせるのです。

それは、当時争いの絶えなかったヨーロッパにおいて、敗戦国になり資産が減少するリスクと
ユダヤ人迫害により、財産が没収されるリスクに備えた方法でもありました。
一極集中による、一家破産を免れるための生き残りの知恵だったのです。

写真:Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/ロスチャイルド家

家紋にも”5本の矢”として5兄弟の連帯の証がデザインされています。(旗の青い部分の手が5本の矢を握りしめている)
マイアーは「5人で協力して事業を拡大するように」と遺訓を残したと言われています。

【幼少期からリスクの教育】
ユダヤの教育では、生活の中でそれとなく”リスクについて教える”と聞いたことがあります。

例えば、お母さんが「鶏小屋から卵を持ってきて」と子供におつかいを頼んだ際、一度に両手いっぱいに卵を抱えて運んできたとします。
するとお母さんは「転んだら一気に全ての卵を失うことになるのよ。時間がかかったとしても数回に分けて運ぶべきよ。」と諭すのです。

迫害を受けて流浪の民として苦労してきたユダヤ人にとって、リスク分散は自然に身についた知恵なのです。

(テルアビブにある”Rothschild Street”)

③スピード感・機密性の高い情報を提供する

【語るなかれ】
マイアーが息子5人に行った英才教育で、特に力を入れたのが語学だったと言われています。家庭教師をつけて、5か国語を習得させたのです。

そのうち希少言語であるヘブライ語は、家族や顧客と秘匿の文書をやり取りする際に役立ちました。
緊急時には、伝書鳩も飛ばしたというのですから...まるで映画の世界です。

また、顧客の情報を口外しないことはもちろんのこと、一族の内情、財産などを公にすることも厳禁でした。

「情報こそが金にかわる」ことを見抜いていたマイアーは、情報の発信を綿密な戦略のもと行うことで、高名な貴族や領主との信頼を構築していったのでした。

テルアビブにあるRothschild Streetの標識
写真:COURRIER JAPON2019.9.1『ユダヤの大富豪ロスチャイルド家の”私有都市”カイサリア』
https://courrier.jp/news/archives/172736/

【スエズ運河株式買収】
情報の機密性と速さが武器であったロスチャイルド家ですが
最近、座礁事故で注目されていた”スエズ運河”を巡る一件で、世界に存在感を示す出来事がありました。

スエズ運河で座礁したエバーギブン
写真:日本経済新聞2021.4.8『新造船発注が過去最高に、海上運賃高騰で』
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB082QQ0Y1A400C2000000/

1875年、ロスチャイルド邸にイギリス首相ディズレーリを招いて夕食をしていたところに、”財政難に陥ったエジプト政府がスエズ運河の株を売りに出そうとしている”という極秘情報が舞い込んでくるのです。

虎視眈々とスエズ運河の経営権を狙っていたイギリス政府には、棚から牡丹餅とも思える情報でした。

ディズレーリ首相は、翌日には全費用をロスチャイルド家からの融資で賄うことに決め、44%の株式買収(400万ポンド=当時約50億円)に成功し、イギリスはスエズ運河の経営権を握ることとなるのです。

融資の抵当は、イギリス政府だったというのだから、ロスチャイルド家が経済に絶大な影響力を持っていたことがよく分かります。

(イスラエル・テルアビブの眺め、イスラエル建国時にも影響力をもったロスチャイルド家)

④先見性を養う

【幅広い分野への投資】
5人の息子たちは、それぞれの地で才覚を発揮します。

例えば、ロンドンを拠点にしていた三男のネイサンは、フランス革命で資産運用に成功すると、為替投資によって財産を築き『金融王』と呼ばれるまでに。
パリを拠点にしていた五男のジェームズは、新しい交通手段として、鉄道事業を成功させ『鉄道王』と呼ばれるまでになります。

また、南アフリカのダイヤモンド鉱山への投資も有名で、現在もダイヤモンドのシェア70%をユダヤ人が独占していることの発端には、ロスチャイルド家が関係しているのです。
[ダイヤモンドとユダヤ人についての記事はこちら☆https://note.com/ganganganchan/n/nb139985aa009

先見の明があったため、現代のグローバル金融の原型とも謳われるビジネスの原型を築きながら、鉄道や貴金属の産業でも実権を握ることができたのです。

(イスラエルの”Castle Winery"にて、フランス・ボルドーの格付け1級の『シャトー・ムートン・ロートシルト』のワイナリーを持つロスチャイルド家は、イスラエルのワイン業界に与えた影響も大きい)

⑤慈善活動をする

ユダヤ教では、古来から「貧困者の救済が神の意志である」という考え方があります。
ロスチャイルド家でも、かねてより慈善活動に力を入れてきました。

【ロスチャイルド家の私有都市】
なかでも、ユダヤ人国家イスラエルへの貢献度は高く、イスラエルの閑静な海沿いの都市”カイサリア”には
国家に属していないロスチャイルド家の私有都市が3000haあり、そこでの収益は『エドモンド・ロスチルド財団』に寄付されているのです。
(Edmond de Rothschild Foundation https://www.edrf.org.il/en/ )
その寄付額は、2019年の1年で30億円弱にもなります。

(”カイサリア”の海沿いにあるローマ時代の水道橋)

『エドモンド・ロスチルド財団』の目的は、若くて献身的なリーダーシップを育成すること。
イスラエルの先駆者や起業家をサポートするための慈善団体なのです。

内容は、高等教育の奨学金制度の充実や、研究費用の援助、ユダヤ人に限らずアラブ社会への援助..など多岐にわたります。
イスラエルは見返りとして、財団に税の全額控除を認めています。

カイサリアの中心にあるニンファエウムと大理石の像
写真:COURRIER JAPON2019.9.1『ユダヤの大富豪ロスチャイルド家の”私有都市”カイサリア』
https://courrier.jp/news/archives/172736/

【いざ、カイサリアへ】
カイサリアは、イスラエルきっての超富裕層が住む住宅街。
ロシアの大富豪、ヴァレリー・コーガンが約88億円を投じて自宅を建設したことでも有名になりました。
その近くには、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の自宅もあります。

以前、テルアビブからツアーに参加した際、イスラエル人のツアーガイドさんが、カイサリアでネタニヤフ首相の家を見せくれようと
高級住宅街を車で正面突破!
セキュリティの方に止められた思い出があります。(サービス精神旺盛なガイドさんでした、笑)

家屋が見えないほど、ヤシの木が生い茂った豪邸の庭園や、要塞のような門が立ち並ぶ景色には圧倒されました。

(ツアーの際に立ち寄った”アッコー”にて)

【慈善活動は分かち合い】
私が住んでいるテルアビブの街中でも、よくベンチに洋服や本の寄付が置かれているのを見ますが、”ユダヤ教の教え”からなのかもしれません。

(たびたび見かけるベンチに置かれるお譲り品)

ーユダヤ教では、収入の10分の1を寄付するのが、半ば義務となっている。
イスラエルの飲食店などでは、食材の1割を店の軒先などに置いておくという習慣があった。貧しい人たちのために、である。
引用:武田 知弘『世界を変えるユダヤ商法』(ビジネス社)

ロスチャイルド家は、情報や才能を分かち合うことで生まれたお金を、世の中に還元すること、現代文明をリードし人類全体の発展に寄与すること、に意義を感じて活動を続けてきたそうです。

富はぐるぐると回っていて、自分の手元にあるのは一時的、ということを知っているのです。

ー私は、金持ちになる究極の目的は分かち合いにあると思っている。社会に才能を分かち合う事で得たお金を、社会に還元していく。このことで初めてサイクルが完結するんだよ。
引用:本田健『ユダヤ人大富豪の教え〜幸せな金持ちになる17の秘訣』(大和書房)

(ツアーの際に立ち寄った”ハイファ”にも”カイサリア”に次ぐ高級住宅街がある)

ロスチャイルド家の家訓

こうしてロスチャイルド家の軌跡を辿ると、マイアーが細々と始めた古銭商・両替商で行なったちょっとした工夫と、積み上げてきた努力の継続こそが、成功の鍵であったことが分かります。

それは、ロスチャイルド家に代々伝わる3つの家訓
Concordia(調和)・Integritas(誠実)・Industria(勤勉)を忠実に守った結果なのでしょう。

ユダヤ人ということで、限られた商売しかできなかったことを、”宿命”と受け止めて、有利に働かせてきた強さにも感心させられました。

ーこの人生で起こることは全て中立であって、良いことも悪いこともないのだよ。
ー良いことも悪いこともないと考え、そして自分にもたらされることは全て受けとめようという心構えのみが、心の平安を人生にもたらすのだ。
引用:本田健『ユダヤ人大富豪の教え〜幸せな金持ちになる17の秘訣』(大和書房)

(イスラエルの空はとても青くて広い)

☆おまけ「町からパンが消える?」

先週、イスラエルではぺサハ=過越祭(出エジプトを祝った祭り)の連休があった。

[ぺサハ(過越祭)の概要が分かる記事はこちら☆https://note.com/ganganganchan/n/n00dc64b7c958#QsAc5

ユダヤ人が400年間も奴隷として扱われていたエジプトから、モーセの導きで脱出した、というユダヤ人の歴史を変えた大きな出来事。

このお祭りの時期は、街中から酵母や小麦製品、パンなどが消える。
スーパーはこの通り、パスタやパンの棚が見えないように布で覆ってしまうのだ。

一般家庭では、大掃除をしてそれらのものを処分してしまう。

それは、エジプトから脱出する際にパンをふわふわに発酵させる時間も惜しまれたことに由来し、当時のことを忘れないようにするために、現在も行われている習慣なのだ。

(ヘブライ語で右から”マクドナルド”と書いてある)

さすが市民に寄り添う”マクドナルド”!
期間限定で”ぺサハ仕様”の、酵母を使わずペタッとしたバンズのハンバーガーを販売していた。

(ちょっとパサッとしているらしい)

こんなことが、行われていたなんて日本にいた時は全く知るよしもなかった。
世界は広いな、と思わされる。

4月にもかかわらず、もう30°越えのイスラエルでは
これから、蒸しっとした熱気とともに、暑い夏がやってくる。

だからこの時期に、白い粉製品を一掃するべく大掃除するのは、とても良い習慣だったりもするのだ。

暑くなるとともに、小さな虫たちが、涼しい家の中に非難してくるから。

(イスラエルの家には網戸がないことが多い、空気の入れ替えをしていると虫が入ってくる)

きっと綺麗な家に虫は寄り付かない。

今年は虫と闘いたくないので、早く大掃除しないとな。

参考:
・本田健『ユダヤ人大富豪の教え〜幸せな金持ちになる17の秘訣』(大和書房)
・武田知弘『世界を変えるユダヤ商法』(ビジネス社)
・ANA Financial Journal『現代の仕組みをつくった”ロスチャイルド家”に学ぶ財をなす3つの視点』https://financialjournal.ana.co.jp/career/detail/id=5796
・Edmond de Rothschild Foundation https://www.edrf.org.il/en/
・COURRIER JAPON2019.9.1『ユダヤの大富豪ロスチャイルド家の”私有都市”カイサリア』
https://courrier.jp/news/archives/172736/

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
トダラバ♡

著・写真 がんちゃん





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