ひげと私の出会い

ある日、わたしは新作のファンデーションを購入しました。「カバー力や使用感はどんな感じだろう〜！」期待と共にファンデーションを肌へのせていく。順調に塗り重ねていき、何やらアゴに黒い糸くずを発見。排除すべく指でつまむと、皮膚がピンッと張った。

「痛っ...」

よく見ると、それは糸屑ではなく髭でした。
長さは約3〜4cm、まあまあ長い。マスクをつけてもギリ隠れない長さ。しかもよく見るともう一本生えている。ごぼうの根っこを彷彿とさせるヒョロヒョロとした頼りない毛。でもしっかりと生えた図太い毛。ファンデーションでも隠しきれない立派な毛。

今まで誰にも指摘されなかったけれど、わたしは4cmにも渡るごぼう髭を生やしていたのか...？と大きなショックを受けました。約8〜9割の女性は脱毛を経験しているツルツル大国の日本で、私は奇跡のごぼう髭女だったのです。(最悪)

なぜ髭が生えてくるのか？急いでGoogle大先生に質問をすると、ホルモンバランスの乱れや、強い薬の影響で生えることもあるそう。生活環境が大きく変化した私は眠りにつくまでに4時間掛かるようになっていました。

わたしは潰瘍性大腸炎という難病のため、強い薬を毎日飲んでいます。病気が悪化してからは通っていた学校も退学し、本格的な療養生活をスタート。約一年かけて新薬や透析治療を受けて回復するも、療養生活を支えてくれていた父親が亡くなりました。

細かいことは割愛しますが、難病で無職の私は住む家も家族も失いました。そこから3ヶ月間、友人の家に居候させていただくことになりました。新しいアルバイトを始め、最近家を契約しました。人生初めての一人暮らしです。
3ヶ月の間、わたしは本当によく頑張ったと思います。眠れない夜が沢山あって、辛い日々を乗り越えて生きてきた証がごぼう髭です。決して女を捨てたわけではありません。

何だかそう思うと、生えてきた髭に誇りが持てそうです。人生の苦楽を共に過ごしたごぼう髭。ですが、これから健康的に楽しく生きるため、相棒との別れは悲しいですが脱毛します。髭が生えたことにより、女性としての自信をなくしたと思いきや、図太く生きるパワーが生まれました。

ありがとう、ごぼう髭。

もっと潰瘍性大腸炎を知っていただけるように、絵やものづくりを通して発信していくので、あたたかく見守っていただけると幸いです！

最後までご覧いただきありがとうございました！皆さんの投稿も見に行きたいので、既読感覚でいいねしていただけると嬉しいです🌸