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日記

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店主の日記
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記事一覧

2024.11.4 2周年

優しくあたたかなお客さまに恵まれ、おかげさまで、cafe gは2周年を迎えました。 以前働いていた店のご縁で、「こういう場所があって、使ってくれる人を探しているようなのだけど、どう?」とお声がけいただいたことから、この店は始まりました。 誰かの下で働いたことはあれど、ひとりでゼロから店をやる、というのは初めての経験。ああしようか、こうしようか、と自分で自分に問いかけ、答えらしきものを出し、これでいいのかしらと悩みながら、試行錯誤の2年でした。 最近、今更ながら、店主として

2024.10.15 舵を切る

2022年の秋ごろ、この店を始めるとき、まず知ってもらわないことには始まらないし、と、Instagramでの発信を始めた。SNS、苦手だけど、とりあえず2年くらいはがんばろう、という感じで。今では、営業日はほとんど毎日のように更新するようになった。続けるうちに、「苦手だなあ」が「得意ではないけれど、まあ、苦ではないかな」くらいになった。しかし、投稿することには慣れても、SNSという空間に、大切なお客さまを留まらせてしまっている、という後ろめたさのようなものは、なくなることがな

2024.8.30 長い夏を抜けたら

 八月、思考が長く続かないというか、何か思ってもひとたび外に出れば「暑い」に思考のすべてを持っていかれ、いつの間にか、何を考えていたんだかすっかり忘れ去っている、みたいなことが多かった気がする。この頃は暑さも落ち着いてきて、ものを考えたり、本を読んだりが難なくできるようになってきた感じがする。この夏は、ラベルレスのスポーツドリンクを箱買いして、冷凍しておいたものを保冷剤がてら日々持ち歩いていた。首や頭を冷やすのに重宝するのだが、溶け出してきた最初のほうの味が濃いというか、しょ

2024.7.29 灼熱のベランダ

東京は、最高気温37℃。いや、ここはインドか?毎日、天気予報を眺めながら(嘘だと言ってくれ)と思っている。この暑い中、わざわざ足を運んでくださる皆さまには、ありがたいやら申し訳ないやら。さすがにアイス珈琲や梅ソーダ、赤じそソーダなど、冷たい飲みものの注文がほとんだが、そんな中、汗だくで店に入ってきてもストレート珈琲を注文してくださる方が現れると、ほんものの珈琲好きの意地のようなものを感じて、おっ、と思う。 こうして日々来てくださる方がいる限りは、ただでさえ営業日が少ないのだし

2024.7.13 黒風白雨

すっかり夏。店を閉めて、駅まで歩くとき、イヤホンで音楽を聴いていたが、イヤホンの隙間から入り込むジーーーーという声に負け、イヤホンを外して蝉の声を聴きながら帰った。 東京は連日、最高気温が34℃だとかで、来年もこんな感じならば夏は2ヶ月くらい店を休むようなスタイルにした方がいいのかも、とすら思う。こんな暑さでも立ち寄ってくださる方がいて、ありがたい。平日は、下校途中の小学生たちが「水筒の水が無くなっちゃって、喉カラカラなのでお水ください」と入って来て、ちょっと涼んでいったりす

2024.6.4 青い香りがしたら夏

今年もあじさいの季節がやってきた。店の最寄りからひと駅おとなり、白山駅からすぐの白山神社は、あじさいの名所で、毎年この季節か来るのがたのしみ。この時期はcafe gのお客さまも、「あじさい、観てきました」と満足そうな顔で店に入ってくる方、「このあとちょっと白山神社まで行ってきます」と言い残してお帰りになる方がたくさんいらっしゃるので、そのたびに訪れた時の光景を思い出して、なんだかこちらまで良い気分になる。 人ごみが苦手な私は、いつもあじさい祭りの開催期間前の平日を狙って訪れ

2024.5.7 ほそくながく、ぐるぐると

そんなに混まないだろうと踏んで開けたゴールデンウィーク後半、予想に反してたくさんの方にお越しいただいた。行楽日和のいいお天気のなかお運びいただき、ありがたい限りである。 木金はほとんどいつものみなさん、土日はほとんど初めましてのみなさん、という具合に、いらっしゃるお客さまの顔ぶれが前後で不思議とくっきり別れていたのが、なんだか面白かった。しかし、火水と旅に出たあと、休みなく次の日からいつものように木金土日と開け、さらにいつもよりも忙しなかったおかげでへろへろになり、己の体力

2024.4.21 小さい春と、あわてんぼうの夏

ここのところ、春の陽気に誘われて、というよりも、夏の暑さに渇きをおぼえて、と言いたくなるような暖かさ(いや、暑さか?)が続き、道々に咲いている小さな花たちも、少ししおれている。今からこんなに暑くて、夏はどうなっちゃうんだろう、とおそろしい。 cafe g では夏季はゼリーや水羊羹などのつるりとしたものがいつものおやつラインナップに加わるのだが、なんかもう暑いしいいか、と思って今年はひと足もふた足も早く、先週あたりからゼリーを始めてしまった。さすがに早すぎるかと思いきや、既に

2024.3.5 小さき花もまた

またしとしとと雨が降り、なんだか冷えますね。 先週、花屋さんで桜の枝を手に入れて、自宅でわくわくしながら日々眺めていたのですが、室内があたたかいからか、みるみるうちにつぼみの先がピンク色になり、なんともう花が開いてきました。小さな枝にぽんぽんと花が咲いてゆく様は、桜並木の迫力とはまた違ったかわいらしさがあり、少し早くきたお花見をうれしく思う反面、もう少しつぼみの状態で、開くのはいまかいまかと眺めたかったかも、という気持ちもあって、我ながらわがままだなあと思ったりしています。ナ

2024.2.22 冬へ、春へ

2月のカレンダーを見ていると、見慣れない29日が存在していて、あれ、そうか今年はうるう年だったのか、と今さら気がつきました。子どものころ、同級生がある時突然「私、実はまだ3歳なんだ」と言い、「え、どういうこと?」「私は2月29日生まれだから、4年に1回しか誕生日が来ないんだ」という会話をしたのを今でも覚えていて、4年ごとになんとなくその子のことを思い出します。今ごろ何をしているだろう、元気だといいな。 最近の東京は、春が来たかと思いきや、またコートとマフラーを身につける日々

2024.1.26 春へ向かって

びゅうびゅうと風の吹き荒ぶ日が続きます。最近なんだかくしゃみが出る時があり、これはもしや、花粉かも。花粉で春を予感するのってなんだかなあ、と思いながらも、確かに季節はうつろっているのだと少しだけ安心します。 cafe gでは、秋からお出ししていたマドレーヌセットが今週末でおしまいとなります。これは、季節の移ろい、というのもあるのですが、ひとりで全ての製造をやっていく中で、他の菓子類や焙煎との兼ね合い、また近頃のバターの値上がりがなかなかなものである、など、複数の事情が重なり、

2024.1.12 はみ出していく

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。cafe gは今年ものんびり開けております。 店での初仕事は、大量のゆずピールの仕込みでした。そのあとしばらく、手からふんわり柚子が香ってしあわせでした。新年一発目の焙煎では、なんだかひとつ挑戦したい気持ちになり、いつも中深煎りの範囲内を狙っている自分としてはかなりぎりぎりのところまで攻めた深煎りで、パプアニューギニアを焼きました。粉に挽いた時点で香りを確かめたときは、やっぱりさすがにやり過ぎたなという印象で、あちゃーと思った

2023.12.12 水仙月の四日

レジの見守り(?)として、ショップカードと会計のトレイの間にいつもなにかひとつ置くことにしていて、気分でたまに変えている。これを先日からシマエナガの小さなぬいぐるみにしたところ、わあ、かわいいですね、と帰り際にひと撫でしてから店を出る方が多くて、なんだか愉快だった。しかしあまりにみんなが撫でてゆくので、そのうちてっぺんだけ禿げてしまうかもしれない。ちょっとかわいそう。禿げる前に交代させてあげようと思う。 変える、といえば、cafe gの本棚の本も、季節によって思い出すものが

2023.12.7 奥山に

NHKでやっている100分で名著という番組を録画しておいて、たまにまとめて一気に見るのをたのしみにしている。この前の古今和歌集の回を見ていたら、解説をつとめている先生がここ最近のなかでも群を抜いてたのしそうにお話しされていて、こちらもわくわくして見られてなんだかよかった。和歌の解説を聞いていると、ああ、中高生のころ百人一首かるた大会があって、朝早く行って一生懸命練習したなとか、そんなことを思い出して懐かしくなった。学生時代に熱中したことというのは大人になった今でも心の芯の部分