過ちと対策
いけない、マフラーを手に取ってしまった。
少しの予断を許さないこの寒気に、我々人間をはじめ生き物が取れる手段は「暖をとる」他ないわけだが、ついに首元を守らなければ耐えられなくなってしまった。
もうこれで、モコモコ靴下、ヒートテック、ダウンジャケット、モコモコニット帽、マフラーを支配下に置いてしまった。あまりにも時期尚早すぎる。
残る武器は、スパッツ、貼るホッカイロ、の2つしかない。
12月でこれなのだから、1〜3月を乗り切れる気がしない。迫り来る歳波と冬に抗う気力も無く、ただただ布に包まっている。
このままだと太る一方だ、ただでさえ春夏秋冬食べ盛りなのに。
そして去年の自分を恨んでいる。
ある程度の冬物をリサイクルショップに売ってしまったのだ。
「また買えばいい」
そんな安直な考えだったが、その考えも虚しく、今現在、金欠でひとつも冬物を買い揃えられていない。お馬鹿さんすぎる。
かと言ってじゃあ奮発して買ってみようかと思うが、寒いから外に出たくないし、そもそも外に着て行く服がない。
いやな輪廻。
「外に出たくない?じゃあまだ手を出してないスパッツとかカイロとか使ってあったかくして出ればいいじゃない」
愚論である。
このスパッツ、カイロに関しては、目に見えない「超えたらいけない一線」がある。
この「超えたらいけない一線」を超えたらどうなるか、そう。
『もう、冬が終わるまでそれ無しでは生きていけない身体』になる。
そうなってしまっては"終わり"。
それはまるでふきのとうのように、春になるまで姿を見せられなくなってしまう。
あいにくまだストーブは出していない、実家のリビングはたまに暖房が付いているが、拠点である自室のエアコンはまだ稼働させずにいる。
まだ君の出番ではないのだよ。
結果として、どうせスパカイ(スパッツとカイロの略)にも手を出すのだが、この『〜生きていけない身体』になる期間をどれだけ短くするかが大事なのだ。
だから、耐える。なるべく耐える。
この冬を乗り切らなければ。
そう思いながら、かけ布団と毛布に抱かれて、天井を見上げる。
屋内はいいなぁ。