見出し画像

【新刊発売記念】『ばいばい こころの緊急事態 追い求めるのをやめてみた。』著者・妹尾まみと父・妹尾河童の親子インタビュー vol.1

【親子インタビュー①】

父:妹尾河童(自伝的小説『少年H』著者)
 × 娘:妹尾まみ(『ばいばい 心の緊急事態 追い求めるのをやめてみた。』著者・心理カウンセラー)

『親になった少年Hと娘の物語』

--------------------------------------------------------------------
Introduction
映画化・ドラマ化され、読み継がれる名作「少年H」
(囲み内テキスト)
1997年に妹尾河童初の自伝的長編小説として刊行された「少年H」。
そのユーモアある文体と魅力的なエピソードは読者の心を掴み、またたく間にベストセラーとなり、平成9年度の毎日出版文化賞特別賞を受賞しました。老若男女、幅広い層に、世代を超えて読み継がれ、上下巻売上340万部超のミリオンセラーを記録。今も重版を続け読者を増やし続けています。
そして、その勢いは日本国内にとどまらず、英語版、台湾版、韓国版、中国版も出版されました。
高校の試験問題に取り上げられ、中学校の国語の教科書にも収録されるなど、「少年H」はまさに国民的、世界的ベストセラー小説です。
(東宝公式サイトより)
----------------------------------------------------------------------

(本文)
インタビュアー:
「少年H」が刊行された当時39歳だったまみさんが、「少年H」を読んだ感想は?

まみ:
戦地ではなくて、日本で戦争を体験していた一般国民の話を読んだことがなかったなぁと、改めて思いました。
少年H君は大人になってもず~っと変わっていないこともわかりました(笑)

インタビュアー:
まみさんから見て、河童さんはどのような父親でしたか?

まみ:
おもしろくて、怖い人でした!(笑)
悪戯っ子みたいなキャラでおもしろい人だったけれど、子供相手でも容赦なくつっこんで来ることが多かったから、常に気が抜けない相手でもありました。
私が嘘をついたりしたときは、徹底的に懲らしめる父親に変身することもあり、そういうときの父はものすごく怖かったです。
でも、最近になって、「子供はその場凌ぎの見え透いた嘘をついたりするもんなんだよね」などと言うことがあってびっくり!実は子供心を分かってくれていたのかなぁ。

河童:
ぼくは、知りたがり屋なんです。
例えば、赤ん坊は、どんな目で世界を見ているのかということに興味を持てば、僕も真似してハイハイしてみるんだよ。
赤ん坊は、床に落ちているものをすぐに口に入れる。
食べ物なのかどうか、食べて確かめたくなるんだなぁとわかる。
誰かの足元にぶつかり見上げると、大人はものすごーく大きく見えるから怖い感じがするとか、テーブルの端にテーブルクロスがたれていると、どうしてもひっぱりたくなる気持ちも分かったね。
子供と一緒の目線になると子供の気持ちがよ~くわかるんだ。

まみ:
子供っぽい人だから子供の目線とか子供の感覚がよく分かるんでしょうね。
だから子供への教え方もすごく上手で、おかげで私はスキーも人並みに滑れるようになったりもしました。
私が小学生の頃、毎年冬休みになると、父の友人たちも一緒に大人数でスキーに行っていたんです。
子供扱いされないので、ついて行くのは大変でしたけれど、私が初めて参加することになったときに、父は家の中でリフトの乗り方まで教えてくれました。
キッチンの椅子をリフトに見立てて、「さぁリフトがくるぞくるぞ~」「ほら、ちょいとバーを押して、それからストンと座るんだ」という具合にね。
ゲレンデでは、父が、私の前を滑りながら、「ボーゲンは、裸の大様だぞー。おへそを天にむけろ!怖がるな~わっはっはと笑え~!」という具合に教えてくれました。
ユニークな方法で教えてくれるので、とてもわかりやすかったんです。
そのときは、必死でしたから、教え方が上手いだなんてわかっていませんでしたけれどね。

インタビュアー:
河童さんにとって子育ては大変ではなかったですか?

河童:
まみは、大変な子だったというより、おもしろい子だったね。
ずいぶん楽しませてもらったよ~。
まみが8歳のとき、弟が哺乳瓶でミルクを飲むのを見て、どんな味なのか気になったみたいだったので、まみ専用の哺乳瓶を与えてやると寝転んでチュウチュウ飲んでいた。おかしいよね~。

まみ:
8歳の娘に哺乳瓶を与えてやる親の方がおかしいですよね~。(笑)

河童:
試してみなきゃわからないことってあるもので、やってみると発見がある。
だからやってみもしないで、「それはおかしいんじゃないですか?」などと言う人は、損をしているなと思う。すでに答えがあると思いこんでしまうような大人になっちゃうのは残念だよね。

僕は昔、看板屋の小僧だったときに、下から見上げる映画館の看板に女優さんを描く場合は、頭を不自然なくらい大きく描いた方がよいこともわかった。平らに置いて描いているときは、頭でっかちでおかしく見えるんだけれど、下から見上げてみると「わー!」という迫力になるんだ。
そういう発見は、やってみないとわからないものだよね。
最近は、何でも「それは無理でしょう」と言う若者が増えているようで困ったもんだと思う。
既成概念にとらわれないで、チャレンジしてほしい。

まみ:
私も、自分が経験したことがすべてカウンセリングに活かされるんだということに気づいてからは、これからもいろいろチャレンジして経験していきたいと思えるようになりました。
クライエントさん(カウンセリングの依頼人)に共感するのがカウンセリングのように言われているけれど、実際には、経験したことしか共感はできないものなんですよね。
例えば子育て。
「子供を育てたことがないと分からないでしょ?」と言われて引け目を感じる人は少なくないだろうと思います。
私も子育てをしたことがないのですけれど、子育てをしたことがないこともある意味では貴重な経験、と思うようにしています。
誰にとっても一日は24時間、体はひとつしかありません。
それをどのように使うかは人それぞれ。
子育てに時間を費やさなかったからこそ得られたこともあるはずなんです。

立場が変わると経験したはずのことを忘れてしまうこともありますよね。
上司になると部下の気持ちを忘れてしまうように、親になったとたんに子供の頃の気持ちを忘れてしまう人が多いようです。
私は、クライエントさんから「うちの子の言動をどう思いますか?」と聞かれることもあるのですが、その子の気持ちが手に取るようにわかることがあります。
私は親になったことがないからずっと子供心を忘れずにいられるのかもしれません。
でも、私の父は親になっても子供っぽいままか!?(笑)

本書では、「子供の気持ちになって向き合う」というテーマについても書いていますので、お子さんがいる方はぜひ読んでみていただけたらと思います。

画像1

                               つづく

著者:妹尾(せのお)まみ プロフィール
心理カウンセラー(認定心理士)。
44歳で東京福祉大学社会福祉学部社会福祉科国際福祉心理専攻。在学中の短期留学(フォーダム大学とハーバード大学)で最先端のアメリカのメンタルケアおよび福祉施設について学ぶ。高齢者介護施設勤務経験あり(ホームヘルパー1級、福祉用具専門相談員)。東武医学技術専門学校非常勤講師(2010~2013)。2005年にmami'sカウンセリング・ルーム開設。著書に『生きづらいあなたには「見捨てられ不安」がある!』(主婦の友社)がある。


📚書籍のご紹介📚

追い求めるのをやめてみた帯付書影【最新】

『ばいばいこころの緊急事態 追い求めるのをやめてみた。』
~「生きづらさのカラクリ」を知って幸せになる方法~

妹尾まみ/著
ISBN:9784907537333
本体価格:1,400円(1,540円 税込) 体裁:四六判・P224



いいなと思ったら応援しよう!