恋する主電源

どうしてもちばゆうすけのギターについて考えてしまう。ヘッダ画像をお借りしています。

この前、世界の終わりでギアン(ギターアンプ)を上げる行為について話した。

この時は世界の終わりについて話していたが、今回はフリーデビルジャムについて思ったのでそちらを優先して書いています。

フリーデビルジャムとは割と特殊な歌だということを知っていますか？なぜならくはらかずゆきがボーカルな部分があるためだ。

それを除くと同じメロディラインの部分が2つあり、それが2回繰り返されるという歌である。どこがコーラスなのかが著しく不明であり、歌の原野を感じる。ロックがどうのと垂れるのはぼくは好きじゃないんだが、初期衝動とはこういうことなんじゃないかと感じさせられる。

そしてこの歌は意外にちばゆうすけがギター持って歌う歌である。勢いギター持たずにステージ上を踊りまくっている姿が容易に想像されませんか？あの両手をクロールさせながらのです。

でもしていない。ぼくが知っているフリーデビルジャムのちばは必ずギターを持っているのだ。それもあのGRETSCHのRossoの時の独特のしゃんしゃんしながら野太い何かがある感じの音飾というよりは、かーっという音。確かWILD WILD SABRINA HEAVENの時は会場の音を拾ったMonTVだかViewsicだかの仕様だか知らんのだが、めっちゃ反響のある感じになっており、よりそれが感じられる気がした。

なぜこの歌だけはギターを頑なに持つのか？むしろぼくは千葉にギターを持ってほしい側の生き物であり、それは過去の文を見てもわかってもらえるだろう。

(上記リンクと同じ)

自分にだけ聴こえるモニタの音だけでなく、阿部と同じぐらいの音量で弾いていてほしかった。Rossoで千葉のギターを知ってしまってから、それはより顕著になっていった。

大きく余談ではあるが、その後ROSSOの面子が大きく変化し、ぼくが求めるものではなくなってしまい、さらにその後ふじけんがROSSO後のbirthdayに加わり、My Little Loverのようなかつて日本ポップスで最強の位置にいた人およびハロー・アゲイン昔からある場所という最強の歌を作った人が、千葉の本質であるあのメロディアスな歌にギターを乗せてくれるのであればそれはむしろ願ったりかなったりだとし、なぜか今日は・さよなら最終兵器にその完成形を見たものだった。その頃すでに阿部は死んでしまっていた。

フリーデビルジャムはくはらが唄う唯一の歌といいました。といっても実はくはらはドラムという全身使う大役を任せられながらまるで全体の監督であるかのように「全員のやりたいこと」を逐次読み取り、その場にいる生き物感情を正確に読み取りながらもドラムをたたき、コーラスが求められるすべての歌にコーラスをつけなければならないから、CDはおいておいてステージではサブボーカルぐらいの役割を果たしている。ベイビープリーズゴーホームとかリボルバー・ジャンキーズやジェニーみたいなユニゾンでいい歌だと、上野や阿部も唄うといいますか、上野はソロパートすら設けられたり後年の阿部は本当に声を出しているのかわからないぐらいになってしまっていたけど。

だけどフリーデビルジャムはガチでくはらが一人で唄う。そこに別に他の人たちがコーラスをつけるわけでもない。普段のくはらは上コーラスをつけている。ユズで言えば岩沢の立ち位置である。実際、上でコーラスをつけるのは下でつけるよりつられづらいから楽ではあるが、上記のような役割を持ったドラマーがやるには難しいはずだ。と思ったけど崎山龍男もかなりやっていた。恐ろしすぎる……

そこで、くはらをひとりにするのは何かいたたまれなくなったのではないだろうか。くはらが慌てふためいてと言い始める直前に、千葉のギターの音がかなりはっきり聴こえることがあった。ある時はアンプの摘みではなく、ギターの手元のダイアルを千葉がフルに上げてい、慌てふためいて～と同時に先に上げた音飾のギターが聴こえ始めたものでした。

あるいはワールドギアブルーズの頃は、PAが事前打ち合わせに基づき上げていたのかもしれない。くはらのパートではギターを鳴らしてやってくれ、と。全員の楽器でくはらをひとりにしないであげよう、と。くはらのパートにおける、やれ魂だとか～と、抜かれる余裕～の間で千葉が叫ぶこともあるのだが、それではもどかしかったのかもしれない。

歌の種別で言うとデュエットと言えるかもしれないが、それを感じさせない。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのデュエットという単語はあまりに奇想天外すぎるから誰もが創造しなかったのかもしれないが、もちろんぼくもこの歌をしてデュエットだね尊いねとか言いたいつもりは微塵もない。やれ尊いねだとか形容する余裕はどこにもねえ。

そしてこの歌はTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT至上最高にキーが高く要求されていて、それに応えているボーカリストが千葉でなくくはらであり、この歌なわけである。やれ魂だとか～～～～～～～～～から抜かれる余裕～～は高いだけでなく転調さえ要求されていて、踊り「続」けるだけの部分が一番高い。ベイビープリーズゴーホームのOh Yeah baby, please 「go」 homeよりも高いのではないだろうか。

そんなとんでもない役目を引き受けたくはらを全員で支えたかった。少なくともフリーデビルジャムではそうだったとしたら……

だが、もうちばは応えてはくれない。でもそれでいいと思う。じゃなかったらこんなことが書けなかったから。