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生きたくないから生きている、親指で射抜くなまけもの
小ぎたない恋のはなし:Ex12
前回
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僕は自分の行動から何から商業に組み込まれている現実を憂う。
今みたいに、電車で所在無げに場を埋めるだけのために携帯をいじっているだけなのに、代償を払わないといけないなんて何かが一方的に、しかも圧倒的に狂っていると思わされる。
それでも僕は死を選ばなかった。「こんな世界で生きたくない」と思ったところで、それをかなえる方法は死を選ぶことしかない。
死ぬためには多大なエネルギー、カロリー、努力、才能、友情とか愛への裏切り、その他色々なものを要する。つまり死ぬことこそがこの世における最大の「達成困難な難しいこと」だ。
「この世」とは一番広いスペースだ。宇宙をも内包する。
この世があり、宇宙があり、世界があり、国があり、それぞれが属すコミュニティなり何なりがあるはずだ。そんな最大の敷地において一番難しい行為など、並の命にできるわけがない。
この世>宇宙>銀河>地球>国>自治体>コミュニティ>家系
生きたくない者が選ぶべき行動は「死」ではない。生きたくない場合に選択すべき行動とは、ギリ死なないようにどんな手段を遣ってでも寿命まで生き残ることだ。
寿命とは別にその国の平均寿命まで生きることじゃない。明日知らない誰かのカスみたいな運転技術で殺されたところでそれが寿命だ。
別に僕は運命論者じゃない。運命で決まっていようが、明日は変えられるだろう。明日を変えるなんて簡単なことだ。大きな期待をしなければいいだけのことなんだから。
もっとも僕はその程度の悩みならちっぽけに思うが、明日もゴミ以下の上司にクソ以下の愚痴を言われて自分の人格否定をされるんだとして、そんな明日を変えるのが難しいだろうか?僕はそう思わない。
そんなクズを物理的に排除すればいいだけの話だ。もちろんカス野郎を殺すことじゃない。物理的に自分の行動範囲に入れなければいいだけの話だ。出社しなければいい。すると社会保障が奪われるだろうか?奪ったのは誰だ。きみの人格を否定してくるそのゴミ人間だ。そいつがいるからきみは出社できない。
この理由は公然たる事実となるのだ。だからあとはそれを知った誰かが助けてくれるのを待とう。
人は事実に基づいて物事を処理する。僕は自分の携帯を見る。数年単位でサブスクリプトしているストリーマが誰かとゲームで遊んでいる。
僕がサブスクリプトしている理由は彼や彼女を応援する一助になればいいからだった。あとは単に携帯にライブストリーム開始の知らせが届くからってだけだ。
僕の目の前のストリーマは今日も僕が一切興味を持てないゲームで遊んでいる。その声がイヤホンを通じて聞こえてくる。時として、受け入れ難いほどの大声が耳を割く。僕が嫌悪する別のストリーマと共にストリーミング活動をしていて、話が盛り上がっているのだろう。
僕は何年も継続していたサブスクライブをその手で解除した。モニタ越しの別れの訪れの簡易さについて僕は思う。
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