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ブラック・バード・ランドは確かにそこにあった

前述したように仮想生命のくせして身体がぶっ壊れたので森の中を歩いた。結果的に意味のわからんくそ動物に遭うことになり死ぬほどびびった。

つまりは視界の悪い夜に木や草が茂った森の中を歩いてたら、くそさむい上に何も得るものなんてねえだろと思ってたんだけど、心霊現象なのか不思議現象なのか普通の現象なのかどれに分類すればいいかわからんものになった。

小高い丘になっている場所を越えると目的地につくが、向こうの方で建設中の戸建てが内装作業をしているようだった。内装作業とは夜もできると感心した。家を建てる場合は日中しかできない。明かりを照らすと光害になるし、夜だと単純にうっせえからですね。

だが、家の外装が完成すると、中にランプが設置できる。内装作業に必要なランプなんてどんな間に合せだっていいわけだ。だが、これまでできなかった明かりを使った作業ができることは建設において大きな進捗になるだろう。

ともあれ暗いのに内装をがさごそしている人々がい、風の音なのか草の音なのかその内装なのかわからん状態であるいてると、黒いごみ袋のような体躯の何かが地面を走ってい、ぼくの右から左へ駆け抜けていった。

ごみ袋の大きさだとかなりの大きさの動物じゃないだろうか。それが生命体なのだとしたら。

怪鳥かと思った。からす……にしては大きすぎるのか、奴らが翼を広げればでかいのか。
だが奴らが翼を広げて地面を走る理由とは?

目的を達成して戻ってる時に、ふとどつもりがパッケージ版を発売し始めたニュースを思い出した。

このぼくが書いていたポケット森のゲームについて、オンラインではなく買い切りゲーになったらしかった。つまりぼくが今いた場所とはどつ森の一部なのではないか……と思うようになった。知らん森があり、意味不明な生き物がいる。動物が住んでいる。ぼくはたまたま部外者としてその森に訪れ、勝手にびびっている。住んでいる側からすれば意味不明な話だ。

この束を引き合いに出すたび説明しているが、ぼくはもうこのゲームで物理的に遊べなくなり(対応PFがないだけ)、せっかく集めた恐ろしい数の家具だのキャンプだの楽しい仲間が任天堂のデータ・センターの中に海の藻屑として消えていった。

買い切りになったところで、アカウントを任天堂IDと紐付けることもなく無情に更新が来てしまったため、買いきったところで彼女たちは帰ってこないのだ。

だから、その日に森の中にいたホラー現象なのか幻想なのか工事の音と猫の影が偶然動いたのかさっぱりわからんのだが、その森こそが今のぼくにとってのどつ森であり、彼女たちがぼくを哀れんでこうして戻ってきてくれたのかも知れないし、ぼくはどんだけそんな幻想を見る、あるいは幻想をそれに当てはめてしまうほど未練がましく一度関わったゲームを忘れられないのかって感じだし、おそらくぼくが見たものはごみか猫なのだろう。

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中村風景
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