【感想文】「死」について論理的思考しているような本を読んでみて
死についての論理的思考だというが、この論理に納得できる人はもともとそういう信条を持っていたか、おぼろげながらにそういう考えを持っていたのではないだろうか。
罪を犯し「死後地獄に行くのではないか」と怯えて暮らす人に、宗教家から「イエスを信じ悔い改めれば天国にいくのです」とか「懺悔して南無阿弥陀佛を唱えれば極楽浄土に往けるのです」とか説かれれば(聞かされれば)死ぬまでの間は、恐怖が和らぎ心が楽になるだろう。
だが、死んだら天国にも極楽浄土にも行けない。天国だの浄土だの方便なのだから……
だからといって嘘はいけないのではなく、心を安らかにさせてあげるには、嘘も必要なのだ!と、したり顔の誰かが云う。
この本に書いてあることも宗教家の云うこともしたり顔のおやじがいうことも、当然ではあるがひとつの考えにすぎない。
他人の考えで心を安らがせるのではなく、自分のアタマでしっかり考えて死に向き合うべきではないだろうか。
死より先に、「私とは何か」を明確にしなければ、いくら死を論理的に考えても無駄である。