幼稚な世界
池で遊ぶ子供たち。
「おい!お前!
池に泥水捨てんなよ!」
「え~ちゃんと薄めたよ~。
そういうみんなのそれは何?」
「これは良いんだよ。
俺のは昔からこの泥水の濃さで、
捨ててんだから」
「俺のもだからな。
最初に捨てた時、
誰も文句言わなかったからいいの」
「え~何で僕だけ?
見た感じみんなの泥水の方が汚いし~。
先生に言いつけるよ~」
「お前、俺たちの泥水、
ちゃんと調べたのかよ。
正確に測ったか?
何月何日何時何分何秒に?
環境大臣の名前も答えて下さい!」
「そんなのわかんないし、
覚えてないよ~」
「お前、知らないの?SDGs」
「知ってるよ。
環境を守るやつでしょ。
授業でやったから」
「だからこの池だって、
環境のひとつなんだから、
泥水で汚しちゃいけないんだ!
いけないんだ~いけないんだ~。
先生に言ってやろ」
「僕も?なんで~」
「この池だって地球の一部で、
大切な資源なんだぞ」
「そうだそうだ!
ここで父ちゃんが釣りすんだ。
うちの晩ご飯に出るんだぞ。
俺が食べる魚が、汚れるだろ!」
「なんでみんな僕にだけ言うの?
だって見てよ、ほら。
あそこで池にロケット花火を、
発射してる子いるよ」
「あれはいいんだよ」
「どうして?」
「あいつは俺らの言うこと、
聞かないから」
「え~それでいいの~。
しかもいっつも、
僕の方に向けて撃ってくるよね?
危ないから止めさせて」
「あっ!もうこんな時間だ。
みんな帰ろうぜ」
「帰ろう」 「帰ろう」
「なんだよ~みんなして~。
僕ばっかり責めてさ~。
……もういいや。
僕も帰ろう…。
あっ!
帰る前に、
おしっこしておこう」
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お疲れ様でした。