食材宅配調理システム
御年80歳の未来さんと光里さん。
今日も井戸端会議で盛り上がる。
近くて遠い…未来のお話。
光里「未来さん。
ドローンないけど、
どうしたのぉ?」
未来「ちょっと前に壊れちゃって」
「じゃあ修理中ぅ?」
「うんうん。
もう廃棄処分したわ」
「ええ~?
便利だって言ってなかったぁ?」
「超便利。
でもこの前、事故起こしたのよ」
「事故?」
「そうなの。
恥ずかしいんだけど、
うちのドローンが間違って、
隣の家に落っこっちゃて」
「それは一大事ぃ!」
「落ちた場所が悪かったのよ…。
リビングにダイビングよ!」
「ここで、だじゃれぇ?
庭じゃなくて家に突っ込んだのぉ?」
「そうなのよ。
幸いお隣さん留守で良かったけど、
居たら大事故だったわよ。
で、リビングに落ちてから、
更にキッチンまで行ったのね」
「うわ~」
「床は卵でグチャグチャ、
野菜はプロペラで粗刻み、
牛乳と混ざって…
現場はベジタブルケーキの下ごしらえよ」
「ベジタブルケーキィ?
よくわからないけど、
もんじゃ焼きみたいな感じぃ?」
「それも正解」
「それでぇ?」
「壊した物は保険で何とかなったけど、
クリーンサービスは実費よ。
人身と対物だけだったから…」
「それはぁ、想定外だねぇ…
家の中までとは…ねぇ」
「事故起こしといて、
使い続けるのは気まずいでしょ?
気に入ってたけど諦めたわ」
「何がそんなに良かったのぅ?」
「買い物して冷蔵庫に収納するまで、
自動でやってくれるよの」
「ええ~?!
あのドローンって、
配達専用じゃないんだぁ?」
「配達はドローンだけど、
搬入口に品物を入れるとダクトを通って、
直接、冷蔵庫の各収納に、
自動で仕分けてくれるシステムなのよ」
「おお~。
でもほら一緒に、
洗剤やゴミ袋とか日用品も買うでしょぅ?
それはどうするのぉ?」
「それは大丈夫。
食料品以外はICタグで、
別の受け取り口に選別されるから」
「優れものぉ。
じゃあ今はどうしてるのぉ?」
「まあ自分で買ってきたものを、
手動で搬入口に入れてるわ。
屋根は無理だから、
搬入口を別に階段のところに
作ってもらったわ。
でも昇り降りが大変ね。
多い時は三往復とかしたりして」
「逆に大変になってない?」
「まあ作業はそれだけだから。
宅配は自動配送車にしたから、
私は届いた食品を、
搬入口に入れれるだけだし。
あとは調理は自動だから」
「調理自動ぉ~!!」
「入れた食材から作れる献立を、
冷蔵庫が考えてくれるから。
私はその中から食べたいものを選ぶだけ」
「調理不要だなんてぇ…。
未来さん…
その冷蔵庫見たいんだけど、いい?」
「いいわよ。こっちよ」
キッチン。
「これよ」
「でかっ!!」
「縦横5メートル、
幅2メートルってとこね」
「これは無理だわぁ。
うちには絶対入らないし、
床が抜けるぅ」
お疲れ様でした。