騒々しいシュメーツン
勇者御一行。
勇者、僧侶、戦士、魔法使いのパーティー。
「新しい魔法が欲し~い!」
「お前はいつも、
そればっかりだなシュメーツン」
「だって私の趣味なんだもん!
いいでしょ!
こうやって魔王討伐に、
付き合ってんだからさ~!」
「…あなたの…せいで…
魔王城が…
どんどん…遠ざかってます…」
「何よ、ドンケル!
こんなの寄り道よ!
時間はたくさんあるんだから!」
「シュメーツン。
それはエルフのお前と、
ドワーフのわしだけの話だ。
ヘレとドンケルは人間だから、
のんびり旅をしとるわけにはいかんぞ」
「さっさと俺にぃ、
魔物の生き血を吸わせろ~!!」
「ヘレはさ。
よくこれでみんなに勇者だって、
認識されてるよね?
ただのバーサーカーじゃん」
「強いからじゃないか?」
「魔王だって強いでしょ?」
「……祭り…上げられてるんですよ…
ずる賢い……人間に……」
「それ当たりだね!
うちら一行を見て、
世界を救うパーティーとは、
思わないでしょ!
ヤバいパーティーやってるようには、
見えるだろうけど」
「出てコォーイ魔物!!
俺の剣で切り刻んで、
ハンバーグにして食ってやる!!」
「まあな。
パーティーの顔がこれだからな。
でも、シュメーツン!
お前がこのパーティーで、
一番、浮かれてるんだからな!」
「そう?
ヘレには負けるよ。
テンションの高さで」
「あいつはただの、
24時間ライブやってる、
ヘヴィメタルのボーカルと同じだ。
ドンケル。
お前の治癒魔法で治せんのか?」
「…無理だ…
治せるのは…身体だけだ…」
「シュメーツン。
ヘレを落ち着かせる魔法はないのか?
あれだけの魔法を収集してるんだ。
そういうのひとつぐらいあるだろ?」
「ニケル。
それはないよ」
「なぜだ?
精神作用の魔法とかあるだろ」
「それは幻惑、幻術などの、
精神破壊が目的のものならあるけど、
ドンケルの言う通り、
精神の治癒魔法はないんだ」
「お前の集めてる、
くだらない魔法の中にもか?」
「ないよ。
ヘレみたいな人間には、
もっと必要なものがあるでしょ?」
「必要なもの?
それはなんだ?」
「お薬よ」
「あ~そうだな」
「……そうだな」
「ヒャーーハッ!!
魔物を菊人形にしてやろうかぁ!!」