世紀末怒覇奪祭! ~本祭~
前夜祭はこちら。
解説席。
「地鶏の名産地○○町で行われてます、
奇祭!魔怒魔苦簇!
引き続き実況は小田でお送りします。
解説も地元を愛する会会長、
松永さんよろしくお願いします」
「どうもですじゃ」
「さて、巨大な山車は、
速度を緩めることなく、
観客エリアを置き去りにするスピードで、
ひとつ目のカーブへと、
突っ込んでいくぞーー!!
おっとーー!!
巧みな手綱さばきと、
遠心力を利用し、
装甲車はその足を止めることなく、
難なく曲がって行ったぁーー!!
あれ?
山車の搭乗員が、
一旦、後ろへ下がりましたね。
どうしたんでしょうか?
何やら準備をしているようですが…。
おっと!!
再び現れた搭乗員の手には、
人の2倍の高さはある丸太?
いや、棍棒を抱きかかえているぞーー!!
搭乗員はそれを軽々と振り回し、
観客に猛アピールーー!!
観客もヘッドバンキングで、
アピール返しだーー!!
会場は凄い一体感だ~~!!
あれ?
先端には何やら、
旗のようなものが見えますが。
会長、あれは何ですか?」
「あれは地元の○○染めじゃ」
「よく見るとあれは、
地元の伝統染めによる手ぬぐいだーー!!
さすが青年団!!
地元愛が垣間見えるぞーー!!
観客もそれに応えるべく、
今度は全員、
手ぬぐい回しだーー!!
おや?
手ぬぐいじゃない人物がいますね。
棒の先にあるあの塊は何だ?!
あれは!!
吊るされた鶏だーー!!
会長!あれは?!」
「名産の地鶏じゃ」
「山車の動きに合わせ鶏が、
左右に大きく揺れているぞーーー!!
いや、あれはすでに
加工済み袋詰された鶏肉か?!
それを振りかぶり……まさか!!
大胆に通りに詰めかけた観客に…
叩きつけたーー!!
いや?!
振り下ろした棍棒が、
急に観客の手元でスローダウン。
かなりのソフトタッチで…
鶏肉を手渡したーー!!
しかも…
中には保冷剤も入ってるぞーー!!
何という気遣い!!
受け取った観客、大興奮ーー!!
袋詰の鶏肉をブンブン振り回し、
感謝のチキン回しだーー!!
え~と、ここで情報です。
○○町の地鶏の特徴はその柔らかさ。
地鶏は硬いというイメージを払拭した、
新しい地鶏です。
もちろん味は濃厚で旨味も強い。
煮ても炊いても焼いても美味い万能食材。
そして地鶏ですので、
厳しい条件や基準をクリアした、
安心安全な日本を代表する鶏肉です。
私もここに前のりで来ましたので、
昨晩、駅前のお店で鶏すきを頂きました。
私、帰りにも必ず食べてから帰ります。
それぐらい美味しかったです。
え~と、あともうひとつお伝えします。
通りにある商店・家屋は、
魔怒魔苦簇住宅保険が、
手厚くカバーしているそうです。
万が一、建物を破壊しても
万全なサポート体制とのこと。
ぬかりないですね会長」
「嫁の会社じゃ」
「おっと!
ひとりの男性が興奮状態で、
道路に身を乗り出してきたーー!!
もしかしてあの十字路の、
角の家の持ち主なのか?!
呼び込むように手を動かしてるぞ!!
うちに突っ込んでこいと言わんばかり、
山車に向かって猛烈アピールだ!!
しか~~~し!!
山車は住宅ギリギリを、
巧みなコーナーリングで
切り抜けたーー!!
そのまま速度を落とさず、
男性の横をすり抜けて行くーーゥ!!
悔しがる男性!!
これには思わず地団駄踏んでるぞーー!!
残念!!」
「あれはわしの兄じゃ」
「さて中継はスタート地点に戻ります。
全ての高速山車が出発した後、
新たに物々しい集団が、
スタート地点に続々集結しています!!
これは…
一般参加の人達だーー!!
乗り物は大きさ制限で
二人乗り程度ですが、
どれも素晴らしい力作揃い!!
コスプレも思い思いで個性的!!
それでいて周囲との調和を重んじた、
豪華絢爛な衣装となってます!!
おっと!
ある一角に凄い人集りができてるぞ!!
有名コスプレイヤーでしょうか…。
このカメラからはよく見えませんね…
あ~、ようやく見えました!!
なんと!!
ハードなコスプレをした幼児が、
派手な乗用玩具に乗り観客に、
手を振っていたーー!!
フラッシュの嵐の中、
愛くるしい笑顔を振りまいてるぞ!!
可愛い~~!!
老若男女が入り乱れた、
全員参加の超ド派手なお祭り!!
緩急の効いた祭り構成は、
まさにエクセレ~ント!!
見応えありましたね会長」
「あれはうちの孫じゃ」