迫撃砲の町
ここは秋田県○○町。
一時は過疎化で、
消滅集落とまで言われた町。
しかし…
町民は諦めなかった。
この町は2つの発明で、
息を吹き返した。
海岸沿いに並ぶ、
複数の巨大な迫撃砲。
「目標!フランス!
アルザス地方コルマール!」
「目標!フランス!
アルザス地方コルマール!
地図セット!」
「場所確認!
受け入れ問題なし!発射!」
「発射!!」
怒豪ーーーーー音!
「1・2・3・4・5・6・7・……
21・22・23・受領信号確認!」
オオオォォォーーーー!
喜ぶ町民たち。
「ほれ爺ちゃん、
まだまだあんだから次行くべ」
「んだな」
ひとつめ…
それはここの住民たちが
コツコツコツコツ作り続けた大砲。
そして…
町民が倉庫の中から、
複数の小包を持ち寄り、
ひとつにまとめ梱包材で、
砲弾のように丸くラッピングする。
ふたつめ…
この荷物全体を包む、
ラッピングに使用されてる緩衝材。
出来上がった丸い塊。
お婆ちゃんが国際宛名ラベルを貼り、
お爺ちゃんが行き先を再確認し合図する。
荷物の塊はクレーンで、
迫撃砲に詰め込まれる。
「目標!ウガンダ!
カンパラ!救援物資!」
「目標!ウガンダ!
カンパラ!救援物資!
地図セット!」
「場所確認!
受け入れ問題なし!発射!」
「発射!!」
怒豪ーーーーー音!
「1・2・3・4・5・6・7・……
18・19・20・受領信号確認!」
ウオオオォォォーーーー!
町民が造った大砲と、
地元町工場が苦心の末開発した、
あらゆる衝撃を無効化する緩衝材。
この2つでこの町は蘇った。
業務提携を結んだ国や企業には、
緩衝材を提供し受け取り拠点としてもらう。
世界のどんなに遠い場所でも、
1分以内に配達できる新しい技術。
アジアの近隣国は、
まず輸送物を秋田に届けるようになった。
この町はいつしか
世界の流通の拠点となった。
毎日の届く大量の品物。
それを昔からの町民…
そして新たな町民と共に…
今日も梱包作業と、
配達作業に精を出す。
「発射!!」
怒豪ーーーーー音!
お疲れ様でした。