真実はひとつ
「見た目は子供、頭脳はお花畑!」
「どうしたんですか急に?
青のジャケットに、
赤い蝶ネクタイなんかして」
「探偵ごっこ」
「またしょうもないこと、
思いつきますね。
で、探偵ごっこで何するんです?」
「金田一くん聞いてくれる?」
「すいません。
私も探偵になってますけど」
「間違っちゃった、金田さん…
今から私の推理を話す…聞いてくれ」
「完全にあの漫画、丸パクリですね。
で、何を推理したんですか?」
「報道されない事件について」
「報道されない事件?」
「とても大きな問題なのに、
誰も扱わない…。
証言者がたくさん出てきても、
報道しようとしない…。
この秘密について」
「何か思わせぶりですね」
「私は人が黙るには、
いくつか理由があると思うの」
「理由ですか?」
「そう。
まずは財力。
お金で黙らせる力。
そして暴力。
これはわかりやすい抑止力ね。
次に権力。
これは立場の上のものが、
権威で逆らえなくするもの。
もうひとつは求心力。
まあ財力に似てるけど、
その人にまだ利用価値があって、
お互いの利点の一致で、
暗黙の了解により沈黙すること。
そしてこれが恐ろしい。
共感力。
ようは共犯ね。
その人物がのさばっていたのは、
その行為を共有、
融通された人物が、
同じ犯罪に手を染めた時、発動される力。
その人の犯行が明るみになれば、
そこから捜査の手が伸びると、
いつか自分にも辿り着いてしまう。
その恐怖心が口を塞ぎ動けなくする」
「恐ろしいことを考えてますね」
「え?!そう?
細かいところを妄想するのが、
私の悪い癖」
「特命課の刑事か!
あなた探偵でしょ!」
「不可能なものを除外していって残った物が
たとえどんなに信じられなくても…
それが真相なんだ」
「そんなキメ顔で、
台本丸読みしても、
もう遅いですよ。
こんな真相に近づいたら…
君のような勘のいいガキは嫌いだよって、
先生……
消されますよ」
「え?!
マジで?!」
「はい。マジで」
プスッ!(麻酔銃)
「今の話は全てこの私、
金田が推理したことです!
金田です。
金田で~す。
金田をなにとぞ、
よろしくお願いしま~す」
タタタタタタタッ!
「命はいつもひとつ!
逃げろーー!!」
一刻も早い…
解決を願います。