スペックホルダーとの遭遇
バイト中の男女2人。
フロアリーダーの男性が、
油を売りに近づいてくる。
「ちょっと、リカちゃん。
面白い話してやろうか?」
「何ですか?」
「ちょっと!
田中ちゃ~ん!
ちょっと来て~!」
「は~い!」
「実はこの田中ちゃん…
霊能力者なんだぜ!」
「霊能力者?」
「色々な霊が見えるんだよな?!」
「はい!」
「私、そういう人、初めてです」
「だろ?
田中ちゃん…
守護霊とか見えるんだよな?!」
「はい…もう見えてます」
「マジか!
リカちゃんのは、どんなヤツ?!」
「リカさんの守護霊は…
とても強いです。
しかも、2人いますね…
ただ…性別があまりはっきりしません」
「へえ~
そうなんですか…2人ですか…」
「何だよ、リカちゃん!
リアクション薄っ!
もっと驚けよな~!
つまんねえ…
そうだ、田中ちゃん!
あそこの鈴木の守護霊も見て!」
「鈴木さんの守護霊は、
小さな男の子のようです」
「何だよ、鈴木!
お前の守護霊、
ちっちゃい男の子だってよ!」
「何すか、それ!
サボってないで仕事して下さいよ!」
「うるせえよ!
マジ、ウケる~!
鈴木、あんなにデカいのに、
守ってる守護霊がちっちゃいって~!」
「あの~田中さん。
聞いてもいいですか?」
「何ですか、リカさん?」
「守護霊が強いと、
何かあるんでしょうか?」
「う~ん。
詳しい友人の話だと、
災難とかそういうのに、
当たりにくいらしいです。
私は素人で最近…
急に見えるようになったので、
あまり詳しくないんです…
すいません」
「いえ。
別に興味本位で聞いただけなので」
「リカちゃ~ん。
霊的なものに興味ないの~?!」
「全然ないです。
だって私…見えませんから」
「つまんねえな~。
キャー!とかウソー!って、
リアクション見たかったのに…
そうだ、忘れてた!
オレの!
オレにはどんな守護霊付いてんだよ!」
「………
言うんですか?」
「何だよ!!
オレのも見えてんだろ!?
田中ちゃん、教えてくれよ!!
オレのも強いんだろ!?」
「わかりました…
リーダーの守護霊は…」
「オレの守護霊は?」
「鳥です」
「トリ!?」
「鳥の守護霊を持つ人は、
落ち着きがなく、
単純作業にはむかないそうです」
「ププッーー!!」
「ひどいな~リカちゃん!
さっきはノーリアクションだったのに、
笑うなよ~!」
(その守護霊、絶対当たってる!!)