深夜全力
深夜0時。
残業でもうこんな時間。
研修期間だけだったなあ…
早く帰れたの…。
さすがに小腹すいて、
机にストックしてたカップ麺食べたけど…
どうしよう…。
夜道は等間隔の外灯だけ。
街中なのに田舎の夜道みたい…。
空前の電気代高騰で、
深夜電力すらも節約されるなんて…。
今度、懐中電灯でも買おうかなあ…。
家に帰って、
何かを作る…余力なし。
仕方ない…
ここはコンビニに寄って行こう。
周囲に……人影なし。
ああ~ひとりか~。
暗がりの中、20mほど歩き、
真っ暗な建物の前で立ち止まる。
薄青に光るマークにスマホをかざす。
ドンッ!!
ギュイーーーン!!
突然、眩い光に
包まれたかと思うとコンビニが姿を現す。
これ無人コンビニというより、
深夜に動き出すメリーゴーランドみたいね。
自動ドアが開き店内へ。
すぐのところに雑誌が並び、
表紙を見るとつい手が伸びそうになる。
ダメッ!
我慢、我慢…。
入店前から
決めてたものを買わなきゃ…。
豆乳きなこと、
コールスローサラダ。
あとは、
シャキシャキレタスのサンドイッチ。
今日はこの3つでいい。
足早にフードコーナーへ。
あった!
豆乳きなこと…サラダ!
あとはサンドイッチ……?
ない!
ないの?
ちょっと在庫切れって…。
そうだ補充ボタン…
カチッ!カチッカチッ!
ダメ?!
もう~!
あと何があるの?
急いでるのに…
もう…チキンカツサンドは重いし…
海老とブロッコリー…海老無理だし…
ああ~もう、たまごサンドでいい!
商品を持って再び入り口へ。
ドア横にズラッと並ぶ自転車の
1台にまたがる。
右足で勢いよく、
ペダルを踏み込む!
クゥゥゥゥゥゥーーーーーッ!
目の前のメーターが
徐々に徐々に上がっていく。
ちょっと!
……早く貯まって!
ピッーーーーーー!
音とともに入口が開く。
自転車を降り、
少しフラつきながら店外へ。
誰よ…
使用した消費電力分、
自転車こがないと
出られないシステム考えたの…。
今夜は…
チキンカツサンド…いけたかも…。
お疲れ様でした。