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サービス♪ サービス♪

スーパー。
 
買い物に来た女性。
 
「今日は…
 まずジャガイモ…。
 
 人参は…どうしよう…
 袋で買う?
 
 それとも単体で…。
 
 袋の方が安いから、
 袋で買っちゃえ。
 
 卵は若干安くなったわねぇ…
 卵が冷蔵庫にあるとないとはでは、
 大違いなのよ…買おう。
 
 ひそかにカレールー…
 値段上がってんのよ。
 
 でも買わないと…
 カレー作れないし…。
 
 あっ!
 ご奉仕品がある!
 
 ラッキ~♪
 
 あとは…
 お肉は冷凍が家にあるから…よし」
 
ピッ!
ピピッ!
ピッ!
 
「………すっかり、みんな…
 セルフレジ使うようになったね。
 
 私よりも年配の方まで…。
 
 私は苦手なのよ…
 そもそも機械がダメだもの。
 
 スマホもギリギリよ。
 娘に教えてもらってやっとよ。
 
 ポイポイだっけ?
 
 何かよく分からないので、
 支払いするんでしょ?
 
 そりゃあ…
 やってみたいわよ…私だって。
 
 でも不安なのよ…
 私にしたらセルフレジって…
 
 未開の地の住民と、
 単独で交流しろっていうのと同じよ。
 
 せめて通訳さんと、
 ツアーガイドがいないと無理。
 
 それくらい…
 セルフレジとスマホの決済は、
 ハードルが高い。
 
 ということで私は今日も、
 いつもの有人レジよ。
 
 何より…安心。
 
 え~と…
 こっちの方が空いてるから、
 こっちへ並ぼ……
 
 あれ?
 
 あそこのレジ…
 何で、あんなに並んでんの?!
 
 スゴい行列!
 
 ここも隣も空いてるよ?
 みんな何で移動しないの?
 
 ん?
 
 あそこだけ、レーンの形が違う。
 
 でもあそこにあるの…
 セルフレジだよね?
 
 でも、店員さんもいるし…何あれ?
 
女性は列を離れて、
そのレジの近くへ。
 
「はい、次の方どうぞ!」
「あの~私…
 何も知らないけど、大丈夫?」
 
「大丈夫ですよ!
 何でも聞いて下さい!」
「ほんと!?
 良かった~!
 まず私は何をしたらいいの?
 
「まずは、買い物カゴをこちらへ!」
「ああ、そう…そうよね」
 
エコバッグは、お持ちですか?」
「はいはい、ここに」
 
「ではこちらへ…
 ここへひもを引っ掛けてもらって…
 そうですそうです。
 
 そして、こちらの画面。
 マイバッグ・エコバッグをタッチ。
 
 あとは食品をひとつずつ…
 ここがバーコードの読み取りです。
 
 ゆっくりかざしてもらうと…」
 
ピッ!
 
「あっ!
 できた!」
「とても、いいです!
 その調子で他の食品も、
 読み込ませていって下さい!」
 
ピッ! ピッ! ピッ!
ピッ! ピッ! ピッ!
ピッ! ピッ! ピッ!
 
「全部終わりましたね。
 では精算になります。
 電子決済は?
「それが…
 そういうの分からなくて…」
 
「大丈夫ですよ。
 ではスマホはお持ちですか?」
「はい、ここにあります」
 
「では画面の【お試し電子決済】を、
 押して下さい」
「ここね…はい」
 
「そうです。
 そしてスマホを、
 そこに置いてみて下さい」
「こう?」
 
「もう少し上ですね」
「こうかしら?」
 
ニャオーーン♪
 
「はい、これが電子決済の流れです。
 決済によって確認の音は違います。
 でも流れとしてはこんな感じです。
 では、こちらに現金を投入して下さい
「そうなのね。
 でも、良かった~。
 
 セフルレジって、
 結構、やってみると簡単なのね~。
 
 何だか分からなくって、
 近寄れなかったのよ~。

 セフルレジの使い方も分かったし、
 今度、その…電子マネー?
 
 旦那に入れてもらって、
 挑戦してみるわね

 
「是非、使ってみて下さい。
 スタッフもおりますので、
 困ったことがあったら、
 気軽にお声掛け下さい」
「ありがとう~。
 また、よろしくね~」
 
「はい。
 ご利用ありがとうございました。
 
 ただいま、これらでは、
 セルフレジ疑似体験行ってま~す!

 電子決済をお持ちでない方でも、
 ご利用できま~す!

 では、
 お次でお待ちの方、どうぞ!」
 
かしこい!
 
 敢えてお客様に体験させるレジを作って、
 店員がサポートしながら、
 不安だけど興味のあるお客さんに、
 セルフレジを学ばせる。
 
 次に来たお客さんは、
 今度は自信を持ってセルフレジを使える。
 
 お店がお客を育てる
 ここの店…やり手だわ!)
 
カラ~ン♪
カラ~ン♪
 
「はい!
 こちら、ただいまより、
 タイムセールで~す!!

 
(え?!
 タイムセ~ル♪)
 
こちらでは先着20名様!
 電子マネー!
 バーコード決済!
 無料登録講習会を行いま~す!
 ふるってご参加下さ~い!

 
この店…天才だわ!
 
「は~~い♪
 私も~♪」
 

このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。 

お疲れ様でした。