トイレの神様
トイレに駆け込む女性。
バタン!
「あ~ヤバかった~!
何とか間に合った~!
電車の遅延とかマジ勘弁してよ~」
ジャジャーーー!
「はあ~スッキリ!」
ポロッ…ボッチャン!
「ああーー!!
私のスマホーー!!
買って1ヶ月なのに!
やだー!どうしよう!
こういう時、どうすんの?
拾うの?!
やだーー!
便器に手を入れるなんて!
そうだ!
スマホ トイレ 水没 対処で
検索かければ…
って、スマホないよ~!!
底にあるよ~!!
どうすればいいのーー!!」
ボンッ!!
目の前に白髪に白髭のご老人。
「いやーー!!
誰~~~!!」
「わしか?
わしは、トイレの神様じゃ」
「トイレの神様?!
そんな曲のタイトル聞いたことが…」
「お主、
今しがた、何か落とさなかったか?」
「は、はい!!
落としました!!」
「その落としたスマホは、
このガラケーかな?
それともこのスッポンかな?」
「……すいません、
全部違います。
しかもこのスマホって言っておいて、
ガラケー出すって何ですか?
しかもスッポンって、
便器に落とすものじゃないでしょ?
押し出すものですよね?」
「そうかそうか。
わしもうっかりしとった。
じゃあ、お主が落としたのは、
このスマートウォッチかな?
それとも取っ手の短いスッポンかな?」
「だからどっちでもないです!!
スマートウォッチは欲しいけど…。
それにさっきからの、
スッポン推しは何なんですか!?
それで私に何をさせたいんですか!」
「そうかそうか。
これも違ったかあ。
なんせ毎日、何百件も流れてくるのでな」
「そんなにトイレに落とす人、
いるんですか?」
「そう思うじゃろ。
ほんと何でも流れてくるんじゃ。
大体は小銭や化粧品など小物じゃな…。
身に付けるものが多いが、
よくあるのは食べ物だな。
なぜトイレで食事をする?
排出と摂取を同時にするとは、
人とは不思議な生き物じゃのう」
「そう言えばクラスでも、
トイレで弁当やお菓子食べてる子、
いたかも」
「どれどれ。
じゃあ、わしも昼時だから、
これでお暇しようかのう」
「ちょっと待って!!
私のスマホは?!」
「スマホ?
そうかそうか。
待て待て…もう一度見てみるから。
お~あったあった!
お主が落としたのは、
このスマートスロット北斗の拳かな?
それとも最新AI機能付きラバーカップ。
スッポンポンくんかな?」
「ふ~~~
アタタタタッ!フォワチャー!!」
ジャジャーーー!
「では~~またな~~ぁぁ~~」
スポン!
「私のスマホは~~!!
まさか!
さっきのスッポンって、
ここで使うためーー!!」