フルノの採用担当、海へ。「現場に触れ、仕事を知ることが新たなコミュニケーションを生む」
2m近い巨体をしならせ高速で海の中を泳ぐカジキを一本の釣り竿で釣り上げる。そんなロマン溢れるフィッシングに取り憑かれた人たちが一同に集う国際大会が静岡県下田市で毎年開催されています。
カジキ釣りに欠かせないのがレーダーやソナーなどの航海計器。決戦に挑む111チームはハイテク機器を駆使して大自然と渡り合います。そのため係留場となる下田港にはフルノ製品を搭載したクルーザーがずらり。
フルノは大会協賛しているご縁もあり、フィールドエンジニアや営業スタッフなど多くの社員が現地入りしています。
今回その大会にぜひ行ってみたいとフルノの人事部門から1名の社員が名乗りを上げました。いつもの仕事場とは全く異なるフィールドで彼は何を得たのか、語っていただきます。
林さん「採用の他、多様性推進を担当している立場としてnoteの運用に携わっていますが、記事に取り上げられた人の周りで新しいコミュニケーションが生まれていることに気づきました。『これはいい!今後社内に記事を書く仲間を増やしていきたい』と感じています。じゃあその前にまずは自分でやってみようと思い今回、初めて筆をとっています。
僕はまだ入社1年半ほどなので、やはり現場や現場で働く仲間をもっと知りたいと思い、多くの職種の社員が集まる“国際カジキ釣り大会”へ行ってきました」
フルノの人事、第45回 国際カジキ釣り大会を訪問する
この大会は毎年7月に4日間、静岡県下田市で開催されています(前夜祭1日と大会3日間)。今年のエントリー数は111チーム、競技参加者約600名、大きなクルーザーが港に集結している様子はとても迫力があります。私がこの大会を訪れたのは2日目から。多くの船にフルノのレーダーや航海計器が搭載されていて少し誇らしい気持ちにもなりました。
フルノは会場内にサービスデスクを設置し、不具合が発生した場合に備えてフィールドエンジニアや営業スタッフが駐在しています。カジキ釣りは早朝に出港し、夕方まで戻ってこない1日がかりのフィッシング。そのためサービスデスクが忙しくなるのは船の出港前と帰港後なのだとか。
船が帰港する午後3時前に会場へ訪れたところ、3人のフィールドエンジニアが船の帰りを待っていました。
すると笹本さんから、一言目にいただいた言葉がこちら
「え、なんで人事の林さんがカジキ釣り大会に来られたんですか?」
この一言からも人事部門の人間が下田まで訪問したこと自体が珍しいことなんだなと実感しました。
"大会を楽しんでもらうために" 製品ではなく効果を売るを実感
過去にnoteで釧路のフィールドエンジニアを取り上げた例を出し、現場取材の意義を説明、実際に業務されている姿を取材したい旨を説明します。すると笹本さんから思いもよらない言葉をいただきました。
笹本さん「機器設定のための訪船や不具合対応はだいたい大会前日か1日目に発生するんですよね。全国から下田までの長距離を船で移動する中でトラブルが発生したり、大会に備えて機器の設定を見直される方が多いので…」
フィールドエンジニアの3名は、大会前日から下田に入り、準備をしていたそうです。"リサーチが足りなかった・・”と心の中で呟きました。しかしトラブルがないことは大会参加者にはいいことだ!と思い直してお話しを伺うことにします。
まずは最近キャリア採用で入社された渡邉さんに声をかけました。渡邉さんは中学生の時から海の仕事に携わりたいと考えていたようで、海洋関連が学べる高校へ進学。そして他社を経験して当社へ入社されました。私としては面接を担当させていただいた縁もあります。
ー オンライン面接以来で、直接会うのは初めてですね。仕事は慣れましたか?
渡邉さん「採用面接ではお世話になりました。とりあえず知識も経験も必死に詰め込んでいる状況ですが、少しずつ業務に慣れてきました。対応する船種が漁船からプレジャーボートまで幅広いため、日々新しい発見も多いです。まだ今は舟越さんと一緒に訪船し、レクチャーをしていただきながら仕事を進めています」
職場の皆さんが優しく教えてくれますとのことでホッとしました。
続いて渡邉さんの先輩の舟越さん、入社10年以上のエンジニアです。
話をしている間も船が続々と港へ戻ってきますが、トラブルなどはないようで、大会前に下田に到着してからどのような準備をしていたのかを説明してくれました。
舟越さん「準備のために大会前日から現地へ入り、まずは無線の設置から行います。というのも緊急時の連絡手段として無線は必須装備で、各船は大会本部・本部艇の無線と通話ができないと、スタートできないルールとなっています。
無線設置が完了すると次はお客様の船の整備です。フィールドエンジニア3名で順々に要請があったお客様の船を周って整備を行いました。船は朝6時頃から動かすため、その前の時間から会場でスタンバイして、連絡があったらすぐに動けるようにしています」
笹本さん「もしも機器故障などの不具合が発生している場合、その場で取り換えができないことが多いです。そのため大会参加への影響が少なくなるよう応急処置で対応することもあります。
修理する時間が少ない大会ならではの難しさがありますが、そこは技術の見せ所だと思って取り組んでいます。そして機器が正常に稼働するかを確認するため、乗船することも少なくありません。この前は、沖から戻ってきたら陽が落ちていましたね」
笹本さんは普段本社勤務でよく話す間柄ですが、現場に出ることも楽しいようで、色々と現場での仕事について語ってくれました。
万が一機器に不具合が発生した場合でもフィールドエンジニアがすぐに対応することができれば、この3日間のために日本各地から集まるお客様に大会を愉しんでもらえる。フルノがサービスデスクを構えていることからもわかりますが、とても重要な役割だと感じました。
クルーザーを訪船、「現場種技」を垣間見る
続いてオーナー様に許可をいただき、社員がクルーとして乗船しているクルーザーを訪問させていただきました。といっても製品などの知識が乏しいこともあり、開発部門の津島さんと企画部門の大古さんに同行してもらい解説していただきました。ちなみに津島さんは大会期間中は別船のクルーとして乗船していたそう。さすがカジキアングラーです。
オーナー様やクルーの方々もフルノの開発や企画担当が来たと知ると、興味を持っていただき、製品の実際の使用方法や要望などを教えてくれました。
製品を前に3人で話すシーンを見て、フルノの「現場種技」という言葉が思い浮かびました。魚群探知機を実用化した古野兄弟の弟、古野清賢氏の言葉で「技術も営業も管理でもどの仕事にあっても、すべからく、壁にぶつかったとき、現場に足を運ぶよう心がけてみてください。そこには技術などの種がある」という想いを込めたメッセージです。
日々現場でお客様と向き合ってきたからこそ、今日のフルノがあるのだなと実感するシーンとなりました。
大会3日目、フルノの人事はついに大海原へと旅立ちました
大会最終日は私にとっても大きなイベントがありました。せっかく下田まで来たのだから、陸で話を聞くだけではなく実際にカジキ釣りとはどのようなものなのか体感したいと強く思っていました。そして営業所の方々のご縁とオーナー様のご好意の結果、クルーザーに乗船させていただけることとなりました。
朝6時に出港し、全速力でスタート地点まで移動。その途中、知り合いの参加船や漁船を見つけるとオーナー様は無線で話したり、手を振ったり非常に和やかな雰囲気でした。
しかし、目的のエリアに到着すると、キャプテンが機器データや潮目を見て操舵、クルーの方もルアーなどを準備し、雰囲気は一変。船内は「釣るぞ!」という一体感に包まれました。
残念ながら、大会3日目は他の多くの船同様カジキを釣り上げるのは叶いませんでしたが、最後の1秒まであきらめずトローリングしつづけたシーンはまさに”スポーツフィッシング”でした。
編集後記
人事の仕事がら、普段から多くの社員に会う機会があります。その際には今回の実体験やオーナー様やクルーの皆様からいただいたフルノへの期待を伝える事ができています。
「人事がカジキ大会へ行きました」という一言だけだと「なんで人事が?遊びじゃないですか?」と思われがちですが、実際は同じ会社の仲間がお客様と真摯に向き合っているシーンが見ることができました。採用担当として、「開発」や「フィールドエンジニア」といった職種に触れた経験は今後の採用活動にも活きてくると感じています。
また社内的にも私自身が知見を得ることで新しいコミュニケーションを生み出していけると自信を持って言える経験となりました。実際海の上で過ごす時間は、普段の業務ではなかなかできない体験で、その場に行かせてくれた会社の懐の深さにも感謝しています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。今後もフルノの事業を通じて社内外ともに盛り上げていくために、働く仲間をnoteしていきます。
執筆 林 穂高
編集・執筆 高津 みなと