それはまるで、自分なくしの旅 『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』感想
かつて、自分探しという言葉が流行った。
今ではずいぶんと手垢が付いて、下手に扱えば簡単に揚げ足を取られるような薄っぺらいワードの代表となった。"ほんとうの自分"なんてそもそも存在しないし、海外に数日旅行したぐらいで変わる価値観なんて初めから無かったのと一緒。そんなカウンターパンチがどこからともなく顎先を狙ってくる。
「自分なくしの旅」
これは「マイブーム」や「ゆるキャラ」という言葉を生み出した、みうらじゅんさんの本のタイトルである。オードリーの若林さんが書いた表題の本を