見出し画像

「雪中四友」(せっちゅうしゆう)の花々と、文化的受容について

「雪中四友(せっちゅうしゆう)」とは?

「雪中四友」とは、冬の寒さの中で美しく咲く4種類の花、蝋梅(ロウバイ)、梅(ウメ)、水仙(スイセン)、山茶花(サザンカ)を指します。この言葉は中国の伝統文化に由来し、日本でも親しまれています。冬の厳しい寒さの中でも咲くことから、忍耐、清廉、高潔さ、友愛の象徴とされています。


「雪中四友」の4つの花の詳細

① 蝋梅(ロウバイ / Chimonanthus praecox)

📌 特徴

  • 落葉低木で、中国原産の植物。日本には江戸時代に渡来。

  • 花びらは黄色で半透明、まるで蝋(ろう)のような質感を持つことから「蝋梅」と名付けられた。

  • 強い甘い香りが特徴で、冬の庭や茶室を優雅に彩る。

📌 開花時期

  • 12月~2月頃(特に厳冬の中で咲くことが多い)

📌 象徴する意味

  • 高潔さ、優雅さ、冬の香り

  • 寒さに負けず、明るい黄色の花を咲かせることから「希望」や「忍耐」を表す。

📌 文化・歴史

  • 中国では「歳寒三友(松・竹・梅)」と共に、冬に耐える象徴とされる。

  • 香りが強く、中国では古くから香料や薬としても利用される。

  • 日本では庭園や茶花として愛される。


② 梅(ウメ / Prunus mume)

📌 特徴

  • 早春の訪れを告げる花で、日本では古くから和歌や俳句の題材として詠まれてきた。

  • 白・紅・ピンクの花があり、香りが強い。

  • 「桜に先駆けて咲く」ことから、希望や忍耐の象徴とされる。

📌 開花時期

  • 1月~3月頃(早咲きのものは12月から咲くこともある)

📌 象徴する意味

  • 忍耐、気高さ、純粋な心

  • 厳寒の中で美しく咲くことから「不屈の精神」や「高潔さ」の象徴とされる。

📌 文化・歴史

  • 「梅は百花の魁(さきがけ)」と呼ばれ、春を先取りする花として尊ばれる。

  • 中国では「四君子(梅・蘭・竹・菊)」のひとつとされ、高潔な人格を表す花とされる。

  • 日本では桜よりも早く伝来し、奈良時代にはすでに「梅」が和歌に詠まれていた。


③ 水仙(スイセン / Narcissus)

📌 特徴

  • 白または黄色の花を持ち、すらりとした茎と爽やかな香りが特徴。

  • 「雪の中でも咲く」ことから、純潔や忍耐を象徴する。

  • 日本では主に「ニホンズイセン(日本水仙)」が広く親しまれている。

📌 開花時期

  • 12月~2月頃(特に雪景色の中で咲く姿が美しい)

📌 象徴する意味

  • 清純、高潔、自己愛

  • すっと伸びた姿が気品を感じさせるため、「誇り」「気高さ」の象徴ともされる。

📌 文化・歴史

  • ギリシャ神話では、美少年ナルキッソスが水面に映る自分に恋をし、水仙の花になったという伝説がある。

  • 日本では福井県越前海岸が水仙の名所とされ、「越前水仙」として親しまれている。

  • 古くから正月飾りや茶花としても用いられる。


④ 山茶花(サザンカ / Camellia sasanqua)

📌 特徴

  • ツバキに似た花を咲かせるが、ツバキよりも早く咲く。

  • 花びらは赤・ピンク・白などがあり、葉がツヤツヤと光沢を持つ。

  • ツバキとは異なり、「花びらが散る」のが特徴(ツバキは花ごと落ちる)。

📌 開花時期

  • 10月~12月頃(地域によっては1月頃まで咲く)

📌 象徴する意味

  • 困難に耐える、希望、友情

  • 冬の厳しい寒さの中でも咲き続けることから「忍耐」「強さ」の象徴とされる。

📌 文化・歴史

  • 「たき火」(童謡)で「さざんか、さざんか、咲いた道~♪」と歌われるように、日本では冬の風物詩として親しまれる。

  • 江戸時代には品種改良が進み、多くの園芸品種が生まれた。

  • 「椿」と混同されることもあるが、サザンカは花びらがバラバラに散るのが特徴。


ここから先は

353字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?