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脳の炎症 → 体と心の悪循環

アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏 より


炎症があると精神的ストレスを感じやすくなるし、精神的ストレスがあると炎症が起きやすくなる。この悪循環を断ち切るために何ができるかを探す必要がありますね。


今回は、脳内の炎症と免疫反応についてお伝えしたいと思います。

脳内にいるミクログリアは、中枢の免疫システムにおいて大切な役割があります。
脳以外の他の部位と同様に外から外敵が侵入してきた際、ミクログリアは侵入部位に向かい敵と戦います。その時、サイトカインの放出も行われます。


中枢の免疫と炎症反応

中枢の免疫と炎症反応

このサイトカインが持続的に多い状態が続くと2つの悪影響が出てきてしまいます。


悪影響①
セロトニンが減少する

さまざまな部位で必要な神経伝達物質のセロトニンは、トリプトファンという原材料から作られます。しかし、ミクログリアが放出するサイトカインは、トリプトファンを使って別のもの(キヌレニンなど)を作るように指示を出してしまいます。結果的にセロトニンの量が減少してしまいます。セロトニンの減少は、神経伝達を阻害につながるため、睡眠リズムや精神面の調整を困難にしてしまう可能性が高まります。

セロトニンの減少


悪影響②
毒性を持つ分子が神経細胞を殺してしまう

トリプトファンから作られたセロトニンではない別のもの(キヌレニンなど)の多くの分子は毒性を持ち、神経細胞を害し、過剰に興奮させ、代謝的に消耗させ、最終的には細胞が死んでしまいます。

キヌレニンの毒性


[用語]
ミクログリア(microglia):中枢神経系グリア細胞の一つで、中枢の免疫担当細胞として知られ、中枢神経系に存在する常在性マクロファージとも呼ばれる。病態時には、細胞体の肥大化や細胞増殖を伴い活性化状態となる。病巣部への移動、ダメージを受けた細胞やアミロイドβタンパク質(Aβ)などの細胞外タンパク質の貪食、液性因子(炎症性因子、細胞障害性因子、栄養因子など)の産生放出を引き起こす。

サイトカイン(cytokine):炎症の重要な調節因子で細胞から分泌される低分子のタンパク質の総称です。サイトカインは、侵入した病原体に応答して産生され、免疫細胞を刺激、動員、および増殖させます。

キヌレニン(Kynurenine):トリプトファンからナイアシンを生合成するキヌレニン経路における主要な代謝中間体のひとつ。


体内での炎症が長引くことは、脳内での反応も引き起こし、精神的にも身体的にも元気のなくなる方向に導きやすくなってしまいますね。

炎症の影響は、全身に波及する可能性を知っておく必要がありますね。

また、炎症とメンタル、炎症と自律神経の関係性を認識した上で、できる対策を探しておくことが大事になりますね🍀


最後までお読みいただきありがとうございました。


[参考文献]
CSF concentrations of brain tryptophan and kynurenines during immune stimulation with IFN-alpha: relationship to CNS immune responses and depression 2010 Apr;15(4):393-403.
・Increased serum IL-6 and IL-1 receptor antagonist concentrations in major depression and treatment resistant depression 1997 Nov;9(11):853-8.


アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏
より
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