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めまいと自律神経の関係

アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏 より


今回は


めまいと自律神経について

お伝えしたいと思います。


✅ めまいを持つ患者さんの中において

  自律神経の問題も一緒に持っている方がいる


自律神経の具体的な状態としては

✅ 交感神経が亢進している状態の方の割合が多い

という文献が複数見つけられます。


めまいと自律神経

めまいと交感神経

これらに繋がりがあることは間違いなさそうですよね。


文献で述べられていることと私の臨床で感じることの2点をお伝えしたいと思います。


※この話をする際、注意が必要です。めまい症状を持つ全ての人が、自律神経の問題や精神的な問題を持っていると思ってしまうことは間違いです。めまい症状を持つ方の中で、自律神経の問題や精神面のトラブルなどが無い方も居ます。また、良性発作性頭位めまい症のように適切な治療方法が分かっているものがあることも知っておかなければなりません。全てのめまいを自律神経や精神的な問題として捉えるのは強引ということです。


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これは1つの文献の紹介です。

自律神経機能障害が原因と思われるめまい症例94例において

自律神経機能を検査 (静的スペクトル分析) したところ

交感神経機能障害21例であった
(軽度亢進7例、中等度亢進3例、高度亢進6例、軽度低下5例)


別の検査 (脈波と心電図の検査)では 

スクリーンショット 2021-02-17 午後9.10.33

この検査において

・自律神経の問題は認められない人  :35名
・相対的に交感神経が亢進している人 :43名 (27+11+5)
・交感副交感神経ともに亢進している人: 1名
・相対的に副交感神経が亢進している人: 8名 (7+1)
・交感副交感神経ともに低下している人: 7名


この研究では、交感神経が相対的に亢進している方の割合が多かったようですね。

(これは、臨床で感じている印象と同じ傾向ですね。)


まとめ

自律神経障害群の分析結果では、交感神経亢進・副交感神経低下例交感神経低下・副交感神経亢進例は、経時的な交感神経機能の変動が健常成人より大きい傾向がみられた。また、交感神経亢進 ・副交感神経低下例では起立時に交感神経機能の変動率が著しく低下した。このことにより安静時にける交感神経機能の過度の亢進が起立によって突然著しく低下し、めまいが誘発されるものと推測された。

[文献]
・めまい患者の自律神経機能
―心電図RR間隔の周波数スペクトル分析による静的、経時的および動的分析―
日耳 鼻100:457-466,1997 新潟大学医学部耳鼻咽喉科学教室


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[私見]
起立性調節障害などの症例の自律神経の状態をみていても、起立時の血圧の変動が上手くできない事が多いですね。この状態を生理学的には、交感神経が上手く働いていないと考える事が多かったのですが、症例の中には、明らかに普段から交感神経が亢進してしまっている人がいらっしゃったので、頭を悩ませていました。「安静時にける交感神経機能の過度の亢進が起立によって突然著しく低下し、めまいが誘発されるものと推測された。」という考え方は、自分には無かった考え方でしたので、この文献を読んだ後からの症例の自律神経の状態の捉え方の幅が広がったと感じています。
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別の文献において

・めまい患者では交感神経機能が相対的に優位になっている人が多い。

・めまいが起きる発作の時期になるとさらにこれが強くなる。

・メニエール病で正常人に比較して副交感神経機能が低下している傾向があった。

・とくに血圧低下時に交感神経の緊張亢進による血圧の調節ができなくなり、脳、内耳の循環不全を引き起こす。→ めまいの発症に関与の可能性がある。

これらのことが述べられています。

[文献]
・めまい患者の自律神経機能 ―圧受容器反射による検討―
 耳鼻 37:1266~1273,1991. 大阪大学医学部耳鼻咽喉科

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー[私見]
健康な自律神経とは、静的な状態のバランスを整っているだけではなく、状況に合わせて交感神経と副交感神経の働きを変動させる能力がある状態のことですね。静的な状態における自律神経のアンバランスが、周りの環境や行動の変化が起きた際にどのような変化が引き起こされるかということについても「仮説ー介入ー結果ー検証」を繰り返してクライアントの状態を把握していく必要がありますね。
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最後までお読みいただきありがとうございました。


アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏
より
日本アレルギーリハビリテーション協会
アレルコア
福のしま研究会
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アレルギーや自律神経に対するリハビリテーションの講習会情報につきましては、以下のHPをご覧ください。

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