【妄想彼氏料理帖:新わかめとワラサのしゃぶしゃぶの巻】今が旬!新わかめはまずしゃぶしゃぶで食べよう。
「なんか春って、食べたいもの満載なんだよね〜」
なんて、どの季節でもそうなんだけれど、とにかく春はウキウキしちゃうものが多い。きょうも毎年たのしみにしている鳥羽の新わかめが届いて、水洗いしている間もふんふん鼻歌が出ちゃうくらいご機嫌さんなわたし。
「わー!なにこれ!!」
「わかめだよ。」
キッチンに入ってきたユヅルくんに生わかめを持ち上げて広げて見せたら、目を丸くして驚いてる。
そうなんだ、ほんとうに大きいんだよね。わたしの身長よりも大きいものだってざらにある。でも、ことしの安楽島産はいつもより小ぶり。1月まではすくすく育っていたわかめちゃんたち、なんでも2月以降海流の変化で低栄養の潮が入ってきて、育ちが悪くなったのだとか。都会にいると感じにくいけれど、こうして自然環境の変化を目の当たりにする機会があって、しかもおいしいっていうのは、なんて素敵なことだろう。これもご縁ができたおかげ。
「今夜は、一緒に送ってもらったワラサとわかめしゃぶしゃぶだよ〜」
「僕、わかめしゃぶしゃぶ初めて!たのしみだなぁ。」
そうかそうか、きっとおいしさにびっくりするよ。
今夜のしゃぶしゃぶは、生わかめとワラサのほか具は長ねぎと大根だけ。主役の生わかめを邪魔しないように、脇役もあくまでシンプルにっていうのが好き。わたしが準備している傍らで、ユヅルくんはお酒の準備をしてくれてる。どうやら焼酎ハイボールにするらしい。
テーブルに運んだ鍋の昆布水が沸いてきたら、長ねぎと大根を入れて再び沸くのを待つ。
「さあ、食べよう!」
褐色のわかめを鍋に入れてしゃぶしゃぶすると、あっという間に美しい緑色になった。
「うわー!すごいね〜」
ユヅルくん、また目を丸くしてる。そして、自家製ぽん酢をつけてパクリ。
「!!!」
丸くした目がさらに大きくなった。
「おいしいっ わかめがこんなにおいしいなんて。すごいね〜」
でしょ、でしょ。なんて、自分の手柄でもないのになぜか鼻高々なわたし。でもほんとうにおいしいんだもん。
「この時期にしか味わえないんだよ。だから思わず鼻歌が出ちゃうんだ〜」
「なんかわかる気がする。」
結局わかめをおかわりして、新わかめをたのしんだ後の鍋の〆は雑炊。ぽん酢で味を整えた後はブラックペッパーと小ねぎだけのシンプルなもの。だけどこれもすこぶるおいしいのだ。
「おかわり!」
ユヅルくんもすっかりファンになったようだし、来年も一緒にたのしめるといいな。
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