カッコウの鳴き声をききながら濃茶をいただく
数日前、小川沿いを歩いていると、
「カッコウ カッコウ」と、鳴き声が、きこえてきた。
・・・かつて、このあたりでカッコウの鳴き声をきいたことが、あっただろうか・・・?
野鳥への関心が高まり始めたのは、昨年の秋くらいから。
初夏のこの時期は、まだそれほどの関心を寄せていなかった。
去年のこの時期にも、普通に鳴いていたけれども、自分がスルーしていただけなのか。
それともカッコウの鳴き声を聞くことが、珍しいことなのか。
それ以前に、自分の耳が「カッコウ」と認識しているこの鳴き声は、本当にカッコウのそれなのか。
ハトの鳴き声、「ポッポー」が「カッコウ」に聞こえているだけかもしれない。
木の葉が茂り、鳥の「姿」はとらえ難い。歩くときは大抵一人なので、他の人に確認することもできず。
そのうち、「カッコウの鳴き声がきこえた」ということは、自分の中で確証をもたないまま、日々のなかに流れ去ろうとしていた。
*
今日の午前中、茶道稽古に向かう道中。
先生宅に近付くにつれて、また、どこからか、きこえてきた。
「カッコウ カッコウ」
やっぱり、「カッコウ」と聞こえる。けれども音が、「ポッポー」とも少し、似ているから、「カッコウ」と特定する自信が、ない。
歩きながら、カッコウが出てくる童謡を、頭の中で歌ってみる。
🎵カッコウ カッコウ 静かに 鳴いてるよ 森の中 ほら ほら 朝だよ
そうだよね、森の中だよね、朝だよね?と、思う。
ここは森の中ではないし、間もなく午前10時。
うーん、空耳・・・?
※歌詞を念のため、検索してみたところ、この童謡は元はドイツ民謡で、この歌詞は2番の歌詞であった
先生宅に到着し、身支度を終えて、先生にご挨拶をする。
と、おもむろに先生が、
「カッコウの鳴き声が、きこえました」とおっしゃる。
「私がこのあたりで前回、カッコウの鳴き声を聞いたのは、三十数年ほど前のことです」
「カッコウの鳴き声をこのあたりで聞くことがなかったので、その時は、近くの大学で音を流しているのかと思って、大学に電話して確認したのです。そうしたら、放送ではない。カッコウは渡り鳥で、近くに来ているようだ、と教えてもらったのです」
なんとなんと、三十数年ぶり・・・!?
あの「カッコウ」と聞こえる鳴き声は、本当にカッコウだったのだ!
そして、記憶力が素晴らしい先生が、三十数年ぶりとおっしゃるのだから、やはりこのあたりで鳴き声を聞くことは、かなり珍しいこと、だったのだ!
「久しぶりに、カッコウの鳴き声が聞けて、うれしいです。」
先生がおっしゃると、
少し開けられた窓の向こうから、応じるかのように、
「カッコウ カッコウ」と鳴き声が、きこえてきた。
先生がお話してくださったおかげで、
「カッコウの鳴き声を聞いたかもしれない」という、確証をもつにいたれなかったことが、
「カッコウの鳴き声を聞いた。このあたりでは三十数年に一度かもしれない、珍しいことだ」と、くっきりと、認識することができた。
今日はまず先生が、濃茶点前(盆点)をしてくださった。
のどかさを感じさせるカッコウの鳴き声をききながら、すっきりとうれしい気持ちで、おいしい濃茶をいただくことができたのだった🍵
分けていただいた、ガク片が八重咲きの紫陽花。幻の紫陽花といわれる「七段花(シチダンカ)」に似ているけれど、品種名は不明だそう。
#1日6000歩 昨日5/22歩数 7,618(+1,618)歩✨