私のためのたけのこ
免疫力が低下して、また口唇ヘルペスが騒ぎ出した。
この前できたのがあまりひどくならずに済んでいたので、ちょっと油断してしまった。
まあ、これにはいろいろと原因がある。
疲れが抜けないのも一因だし、自分の体力を過信しているわけではないが、どうしても出たい会、会いたい人には無理をしても行ってしまう。
家にこもってばかりだと、悶々としてしまってそれこそ元気がなくなってしまい自分でダメ人間扱いをし始める。その状況を打破したいからこそ体に鞭打ってしまうのだ。
そして先日、ついつい体力が落ちているのにもかかわらず、あまりに粒の大きなカキフライ定食を見かけて、思わずオーダーしてしまったところ、食べてから3日ほどお腹が空かないという事態に。
要するに私の消化能力を超えてしまっていたのだ。
それからというもの全く出口の見えない食欲のなさに、何を食べたらよいのかわからない。誰に相談してよいのかわからない悩みを抱えてしまっていた。
私は何を食べたいんだろう?何がスキ?何だったら食べられそう?
元々、お肉を食べると胃がもたれやすいので、たくさん食べることはできない。
キャベツや大根おろしを食べると、ご飯をお替りしたくなるというのは、やはり消化吸収のシステムが健康な人とはちょっと違っているんだろうと思う。
こんな時は旬のものに限る。季節を感じることができると、自分の体がきれいになる気がする。そして体も喜んでくれそう。
旬と言えば、たけのこ(注 たけのこさんではない)。
先日は戴いたたけのこで若竹煮とたけのこの刺身にした。
その時も、自ら箸が進んでたくさん食べたくなった。
たけのこ、買ってこようかな。最近食費がかさんでるけど、食べられるならちょっと贅沢してもいいかな。
そんなことを思っていた矢先、見知らぬ番号からスマホに着信。これは新しい仕事の電話かと少し緊張して出てみると、普段あまり関わりのない仕事の先輩からであった。
「ちょっと会って話したいことがあって別の方から番号を聞いたのよ、後で寄ってもらえない?」
何事か?
後でと言われたものの何があったか気になり、他の用事を早々に切り上げ、事務所へ向かう。
すると笑顔で迎えられ、「びっくりしたでしょう?何って訳じゃないけどこれを渡したくて」
渡されたものを見てびっくり。
たけのことわかめだ。
昨日のnoteでたけのことわかめ、もっと食べないとなとつぶやいていたが、もちろん彼女が私のnoteを知る由もなく、全くの偶然だ。
ただ、私がたけのこがスキだという話を先日のお疲れ様会でしていたのを小耳にはさんだというだけで、わざわざ下茹でしたたけのこと、ご主人が海で採ってきたわかめを私のために準備してくれたのだ。
「いただいていいんですか?ありがとうございます」
あー、うれしい!心の声が漏れ出ていたかのように、少し前のめりでお礼を伝えてしまった。
恐らく私が食欲がないことも、免疫力が落ちていることもしらないであろう、あまり仕事でも身近な存在という方でないにもかかわらず、何故私を気にかけてくれたのだろう?
本当に嬉しいと共に、周りに気を遣わせずに気を配るその方の偉大さに今更ながら気づいた。
そして、私はいつも周りの方のあたたかさに支えられているということを痛感し、自分は何ができるのだろうかと考える。
行く前の心の焦りとは反対に、ぽかぽかとした気分で家路に着くと、早速調理に取り掛かった。
今日のメインはたけのこご飯!
そして、おかずは
たけのことにんじんの煮物にわかめのあんかけ、白身魚のソテー、鶏ミンチでピーマンの肉詰め。
肉肉と騒がれる普段の家族中心メニューから、今日は私の好きなもの、食べたいものでメニューを組んだ。
俄然、食欲がわきそうだ。
たくさん食べられないまでも、バランスの取れた食事を少しずつでも食べられたらそれでいい。
温かい気づかいを感じながら、自分を労わるメニューで気分も上がる。
今しか食べられない旬のものを、私のために準備してくれたあの方への感謝を込めて
美味しくいただきます
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