![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119322138/rectangle_large_type_2_97258e42fc3c35f566b2727e9505c82a.jpeg?width=1200)
健康長寿と生活習慣
豊かな社会生活を送る上での基礎条件として、健康を意識する人は年々多くなっていると思います。
平均寿命が延び、人生50~60年と言われていた時代から、90~100年の時代になり、実際の寿命と健康寿命(寝たきりなどにならずに元気に生活できる寿命)との差が大きくなることが問題となっています。
多くの方が、『自分のことは自分で』、『寝たきりにはなりたくない』、『家族や子供に出来るだけ迷惑はかけないようにしたい』、と思っており、そのためにさまざまな取り組みを行われている方が増えている印象があります。
当院も健康長寿を目標にする医療を目指しており、予防医学や健康維持に対する意識を高く持っています。
当院の院長が所属している学会に抗加齢医学会とう学会があります。
※詳しくはこちら↓
https://www.anti-aging.gr.jp/about/
抗加齢医学会では、筋肉や肌、体力や精神心理、ホルモンや腸内環境、整形外科疾患や認知症に至るまで、健康に関するあらゆる分野での研究や講義などが発信されています。
その中でも健康寿命に関わる問題として、大きなウエイトを占めるのが、身体機能の低下と認知症ではないでしょうか。
身体機能面では筋肉の減少を伴う、サルコペニアや転倒、骨折、慢性疲労などによる活動量の低下などの問題があります。
認知症も含め、これらは、要介護状態となる原因でもトップ5に入るものであり、避けては通れない課題でもあります。
最近の論文や発表を拝見していると、やはり現代社会における、摂取カロリーの過多と活動量の減少(運動量の減少)が一番の原因とされています。
当院でも、健康のためには食事、運動が非常に大切であると常に発信していますし、患者指導でもほぼすべての方に言っている内容でもあります。
具体的な数値を出すと、健康に良い影響を与えるためには、週に1回~2回程度、目標歩数8000歩を目指すとよいと言われています。
また高齢になればなる程、少ない活動でも良いので、積極的に運動を行いましょうと言われています。
認知症では、記憶に関する『海馬』という場所に関する論文があり、運動トレーニングや活動量の多い人ほど、海馬の萎縮が少なかったという結果が出ています。
栄養については、現代社会の特徴として、脂質や一部の栄養素を過剰に摂取する一方でビタミンやミネラルなどの微量栄養素が不足する傾向にあると言われています。効率を求めた農業や加工食品の影響で大切な栄養素が不足している可能性があり、この部分も今後注目していく必要があります。
特に高齢者は食事摂取量が減少する傾向にあり、さらに栄養不足になる可能性があります。
当院でもお伝えしている『まごわやさしい』を合言葉に摂取するものを調整することが重要です。
![](https://assets.st-note.com/img/1697765345893-Q67wUjiil3.jpg?width=1200)
認知症を予防するためには、体に炎症を引き起こしたり、免疫力を低下させるような食品を避けることも必要です。トランス脂肪酸や過度な飲酒などは控え、EPAやDHAを多く含む、魚類などをしっかり摂取するように心がけます。
栄養不足を補う物として、サプリメントがあります。
当院でもサプリメントを導入しています。
サプリメントに関しては、様々な考え方、使い方があると思いますが、基本的には食事で補うという姿勢が大切です。その中でも不足している栄養素がわかっている場合や、症状や採血などから不足している可能性が高い場合に使用することが有効です。
サプリメントに関しては栄養素の理解や適切な商品の選択がとても重要になります。多くの製品がある中で、値段や内容などにはかなりの差があります。もちろん高いから良いという訳ではありませんが、まがい物が多く存在していることも事実です。
また不十分な知識で導入すると効果が出なかったり、かえって悪くなることもあり注意が必要です。
サプリメントに関する知識を持った人からの情報をしっかり受け取れるようにしましょう。
運動に関しては、運動が悪いという論文はほとんどないと思われます。
それぐらい運動は健康にとって重要ということです。
現代社会においては運動量が不足している以前に、活動量が極端に少なくなっています。さまざまなことが便利になり、移動することが少なくなり、移動するにしても一昔前と比べると格段に動く必要がなくなっています。
また農作業や家事などをしなくてもよい環境となり、大人だけではなく、子供の体力は年々低下しているという報告もあります。
そのまま大人になれば若いころの蓄えがないため、より体力は低下しやすいことが予想されます。
このように社会的な生活が便利になり、より活動しなくなっている現状があり、その上、テレビやスマートフォンやゲームなどの娯楽があるため、益々運動する習慣が低下してしまいます。
日常的にエスカレーターではなく階段、車ではなく自転車、自転車ではなく徒歩など、生活の中での意識がとても重要です。
その習慣を改める方が、新たにフィットネスジムに通うよりも効果があると思います。
面倒くさい、しんどい、やる気にならない、痛い、忙しいなど、やらない理由はたくさんありますし、いくらでも言い訳はできます。
しかしそのままの生活を続けると、5年後、10年後どうなっていくのかを、我々は患者さんを通して知ることができます。
一度低下してしまった筋力や体力は元に戻すのに非常に時間がかかります。また認知機能や骨密度などは元に戻しにくいため、やはり低下する前の予防が重要です。
予防医学については、他の医療と比べるとまだまだ馴染みは薄いかもしれません。しかしこらからの時代、様々なデータが揃い、AIなどによる解析が進むと、将来の予測や病気の予後なども明確になる時代が来るかもしれません。
将来健康で人生を全うできるかどうかを作るのは、今の自分です。
当院としては、今後もできるだけ正しい知識を発信していきたいと思います。