日本酒ブランド「HINEMOS」が生まれるまで 後編(デザインについて)
前編では、「HINEMOS」のお酒の「味」について書きましたが、今回は「デザイン」についてふれていきたいと思います。
その前に「HINEMOS」の味の評価について。
日本酒の国際品評会は、イギリスのInternational Wine Challenge(IWC)とフランスのKura Masterが有名です。
ワインの品評会は多いと思いますが、そこからSake部門が派生してできたようです。IWCでは酒蔵は約500蔵、1,500銘柄が出されていたとのこと。
「HINEMOS」も出しました。30万円しました。涙。
結果は、
・SHICHIJI(7時)スパークリング部門
International Wine Challenge シルバーメダル
・KUJI(9時)純米大吟醸部門
International Wine Challenge ブロンズメダル
・NIJI(2時)純米酒部門
Kura Master ゴールドメダル
と、初年度から、とても光栄な結果となりました。わたしは杜氏(醸造責任者)の湯浅さんの横で、「アルコールが鼻を抜ける感じを消せます?」とかつぶやいていただけなので、湯浅さんすごい。
メディア向けの出展イベントでは、日本酒女子の方をはじめ、たくさんの方にとても美味しい、という言葉をいただき、うれしい門出となりました。
そして、後編の「デザイン」です。
日本酒はラベルをはじめ、デザインは漢字が一般的でありますが、コンセプトを含め、もっと違う表現の仕方もありなんじゃないかな、と思っていました。逆に海外は漢字の方がいいかもしれません。
なるべく専門用語をシンプルに、クリエイティブもどちらかといえば、20代や30代をターゲットに。そういう観点から「HINEMOS」の広義のデザインはスタートしました。
わたし「最初に4銘柄つくりますが、妻が3姉妹で息子もいるので、お酒の名前は、それぞれの名前をつけたいとおもいます」投資家「プライベートすぎるからやめたほうがいい」
と、最初は方向性がブレました。危なかったです。
アートディレクターKとの打ち合わせは、いつも東京駅の虎連坊という日本酒料理店です。
上述の3姉妹のつづきで、
わたし「あおい、しずか、あすな・・」
アートディレクターK「あす菜って名前が気になる。明日咲く花って。明日に希望が持てる酒って感じでいいじゃん。」
わたし「朝日とか、よくない?」
K「アサヒビールあるから商標ダメじゃん。時間軸じゃない?時間を軸にした酒ってよさそうじゃない?」
わたし「おお、いいね!」
どちらが言い出したか忘れましたが、
「もう時間そのものでよくない?SHICHIJIとか。夜7時くらいからみんなビールで乾杯するし、そこにスパークリング日本酒もってくれば、入りやすいんじゃないかな?」
「時間帯ごとに日本酒を変えていって、いろんな種類が味わえれば、すごくシンプルで説明しやすいじゃん。」
そういった会話から「HINEMOS」のコンセプトは生まれました。冠ネームの「HINEMOS」は「時の言葉」です。
終日をふりがなで、「ひねもす」と呼びます。意味は、一日中。時間帯がコンセプトの日本酒にはぴったりのブランドネームでした。
与謝蕪村(よさぶそん)の俳句にもでてきますし、万葉集にも登場します。あとから知りました。決して、われわれに教養があるわけではありません。
海外をふまえ、24時間表記でなく、AMPM表記の12時間。「HINEMOS」は12銘柄つくることが決まりました。
商標はひとつ取得するのに6万円くらいかかるのですが、ここで「HINEMOS」と「12時間分」で、80万円かかりました。ツライ。
日本酒には、純米大吟醸、純米酒などいろいろと種類があるのですが、12銘柄でおおよそがカバーできそうです。
7:00PM スパークリング 乾杯に。
8:00PM にごり酒 前菜に。
9:00PM 純米大吟醸 メインディッシュに。
10:00PM デザートライスワイン デザートに。
0:00AM 赤色酒 チーズやフルーツに。
2:00AM 純米酒 ウィスキーの代わりに。
こうすれば、カスタマーも迷うことなく、日本酒を選べるんじゃないかと考えました。
できあがったデザインはこちら。
実物をみると、ぱっと見、ラベルが数字を表しているか分からないんですが、ブランドは「パッと見ですべて分かってしまわないくらいがいい塩梅だと思う。」とアートディレクターKが言っております。
ラベル表面の三角は、7時〜8時の時間帯を表しています。その時間帯に飲むことをおすすめします、という意味合いを込めています。キャップやキャップシールにも時間帯を表す三角を散りばめています。
パッケージのトップにも時計を入れています。
わたしは、「こう、もっとシャープさと可愛らしさが同居できない?」とか横でつぶやいていただけなので、ブランドらしくなってきて、アートディレクターK、すごい。
「HINEMOS」の「味」はどちらかといえば、甘めで低アルコールが多く、はじめて日本酒を飲む方にも飲みやすくなっています。一方で、「デザイン」はミレニアル世代を意識しています。
最近のシーンとして、意図していなかったのですが、年配の男性から若い女性へのプレゼント、として購入される方が増えてきました。また、女子会でホームパーティーで使っていただくかたちが多いです。
こうして、無事に「HINEMOS」は航海をはじめています。
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オリジナルブランドの日本酒「HINEMOS」のECサイトをオープンしました。
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