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AIと社会科学・心理学の融合で人材マネジメントにジェンダード・イノベーションを巻き起こす! ~富士通とお茶の水女子大学のスモールリサーチラボから~

こんにちは、富士通 広報の三上です!
みなさん、突然ですがジェンダード・イノベーションという言葉をご存じでしょうか?ジェンダード・イノベーションとは、性別の差を深く分析し、研究・開発のデザインに組み入れるという考え方です。
日本は世界的にみて経済分野への女性参画の遅れが課題となっていますが、今回は、「富士通スモールリサーチラボ※」にて富士通とお茶の水女子大学がこの課題解決にアプローチする、ジェンダード・イノベーション創出の取り組みについて紹介したいと思います。
 
富士通スモールリサーチラボ:富士通の研究員が国内外の大学に常駐または長期滞在し、様々な分野の先生および学生と中長期的な産学連携により、富士通が注力する5つの技術領域①Computing ②Network ③AI ④Data & Security ⑤Converging Technologyにおける研究を実施する取り組み


日本におけるジェンダーギャップの課題

日本では経済分野での女性の参画が遅れている理由として、女性の採用から育成、昇進までのパイプラインの構築が途上であることや、社会全体において固定的な性別による役割分担への意識無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)が存在していることが指摘されています。
日本政府は「2030年までにプライム市場上場企業を対象とした女性役員比率を30%以上とする」という目標を定め、企業に女性の参画を促す取り組みを進めています。しかし、女性の雇用やキャリア形成における課題について、社会科学・心理学の手法に基づいた研究が進む一方で、現時点では、多くの企業が組織内のジェンダーギャップ(男女の違いにより生じる格差)を配慮した雇用やキャリア形成の方法を模索中で、試行錯誤を繰り返している状態となっています。

お茶の水女子大学と富士通が目指すジェンダード・イノベーション

このような企業の課題解決への貢献を目的とし、長年、ジェンダー研究において実績のあるお茶の水女子大学の社会科学・心理学の知見と富士通のAIの技術を融合し、人材マネジメントにおけるジェンダー平等施策を提案するための研究開発を2023年3月より進めています。本研究の開始に関するプレスリリースの公開後は、ジェンダード・イノベーションの研究とAIの倫理に関する研究の組合せが先駆的な取り組みであると、メディアから多くの反響をいただきました。
本研究は、AIが人材評価におけるジェンダーギャップの状態を客観的かつ定量的な公平性のある指標に基づいた平等な施策を具体的に提示し、意思決定者が、社会科学・心理学によるジェンダーバイアスの分析から得られる知見を活用し、AIから提示された施策が社会から受容されるかを確認して最終判断を決定する仕組みとなっています。
このような、AIによる施策の提案と人による判断を繰り返しながら、平等な状況へと改善を進めることができます。
現在この研究開発は、社会科学・心理学の調査分析段階で、今後それらの知見をもとに提案方法の効果検証を進めていく予定です。詳細については本日公開したホワイトペーパー(報告書)をご覧ください。

関係者コメント

この研究開発に携わった一人である、富士通 AI倫理研究センターの新田泉からのコメントを紹介します。
「ジェンダード・イノベーションという言葉は、一般のメディアでも紹介されるほど、現在注目されている概念です。研究開発に性差の視点を取り入れることによるイノベーション創出は、医療や製品開発などですでに起こっていますが、今後、様々な領域に広がることでしょう。
私たちは、女性の労働やキャリア構築に焦点を当て、お茶の水女子大学のジェンダー研究と富士通のAI技術の連携によって、日本のジェンダーギャップの改善に貢献するための技術を開発中です。
2023年3月よりスタートしたジェンダー研究とAI研究の異分野横断の研究活動は、お互いの言葉の定義や研究の進め方の違いなど初めは難しさがありましたが、日本の女性活躍推進に貢献したいという共通の目標に向けて研究を進めていきます。」

富士通 AIトラスト研究センター 新田泉

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