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生化学工業、アメリカで間質性膀胱炎の治験開始!期待高まる膀胱内注入治療の新薬開発

生化学工業(東京都千代田区)は、米国で間質性膀胱炎治療剤「SI-722」の治験を進めています。「SI-722」は、“膀胱内注入療法”という方法での使用が想定されている医薬品候補です。現在、「DMSO」「ヘパリン」「ヒアルロン酸」といった薬が膀胱内注入療法で使用されていますが、保険適用外となっています。間質性膀胱炎の治療の選択肢が増えるのは、患者さんにとって大きなメリットになるはずです。

求められているのは持続的な症状改善

糖質科学領域に焦点を当てて新薬の研究開発を推進している生化学工業は、グリコサミノグリカンという多糖類を活用した新薬開発に取り組んでいます。

同社は2019年11月8日、間質性膀胱炎治療剤「SI-722」の治験が米国で始まったことを発表しました(※1)。治験プロセスの第1段階と第2段階がまとめて実施されており、治験完了のメドは2021年3月ごろとされています(※2)。

間質性膀胱炎は女性に多い難治性の病気で、頻尿や膀胱痛が主な症状です。間質性膀胱炎の患者さんは、米国では約130万人、日本では約25万人いると推計されています(※3)。

米国で治験が始まった新薬「SI-722」は、膀胱内注入療法に分類される治療法です。膀胱内で抗炎症作用のあるステロイドを少しずつ放出するSI-722によって、頻尿や膀胱痛といった症状の持続的な改善が期待されています。

膀胱内注入療法に使われている薬

膀胱内注入療法は、有効性・副作用について検討の途上にあり、保険外診療として行われています。現在、「ジメチルスルホキシド(DMSO)」「ヘパリン」「ヒアルロン酸」といった薬が選択肢として挙げられています(※4)。

ジメチルスルホキシド(DMSO)
DMSOという有機溶剤は、有効性について、ある程度のエビデンスがあり、重大な副作用が少ないとされています。米国では間質性膀胱炎の治療薬として認可されており、日本でも治験が進展しています。

ヘパリン
ヘパリンは、血栓治療で使用される抗凝固薬です。間質性膀胱炎に対して、ヘパリンの投与はある程度のエビデンスがあるとされていますが、頻繁な注入が必要なため効果の持続性が課題となっています。

ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は、変形性関節症の関節内注入療法や化粧品の保湿成分に使用されている多糖類です。間質性膀胱炎の症状を緩和すると考えられていましたが、有効性は確実ではないとされています。

間質性膀胱炎の原因は解明されておらず、治療法もいまだ確立されていません。症状改善に繋がる選択肢が増えることは、患者さんにとって大きなメリットになるはずです。

参考文献

※1 生化学工業 「SI-722の間質性膀胱炎を適応症とした米国第I/II相臨床試験開始に関するお知らせ」
https://data.swcms.net/file/seikagaku_corp/ja/news/auto_20191108422580/pdfFile.pdf

※2 生化学工業 「2020年3月期 第3四半期 決算説明」
https://www.seikagaku.co.jp/ja/ir/main/00/teaserItems2/0/linkList/00/link/20200204-2.pdf

※3 快適な排尿を目指す全国ネットの会のHP 「間質性膀胱炎の知識」
http://www.hainyo-net.org/knowledge/illness/kanshituseibokoen/

※4 間質性膀胱炎研究会誌(2019年1月) 「膀胱内注入療法および手術療法」 巴ひかる
http://sicj.umin.jp/kaishi/pdf/2019.pdf

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