身もなくあえかなり(「源氏物語」女三の宮)
「いと御衣がちに、身もなくあえかなり」
『源氏物語』若菜上、より。
前記事で「身もなき雛」という表現を引用したが、似たような表現をされた女性に、女三の宮がいる。意訳すれば、
「衣裳ばかり目立って、中身がないように弱々しく細い」
という感じだろうか。
体型同様、精神的にも未成熟で、そういう幼さゆえに、夫の光源氏から疎んじられ、柏木との密通から不義の子を生んでしまった直後、出家するわけだが、その「不義の子」こそ、宇治十帖の主人公・薫であり、彼が成人して恋した大君が「身もなき雛」