転生としてのダイエット

少女マンガの『シルフィードの罠』(竹崎真美)は、主人公が〝空気の精〟に憧れて、拒食症になっていく物語だけど、小説の『鏡の中の少女』(レベンクロン)でも、主人公は〝フランチェスカ〟という本名を嫌い〝ケサ〟という別の名前をこさえて、激痩せを目指す。
大なり小なり、ダイエットというのは、今の自分を否定し、別の自分になろうとする試み。その転生へのモチベーションが、過激なほど、病的な展開を示すように思える。

転生としてのダイエット。でも、哀しい哉、人間はまるっきり別の人間に生まれ変わることはできない。


(初出「痩せ姫の光と影」2010年5月)

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