娘の部屋は別名「魔窟」。家族3人で挑みます!
#20240414-383
2024年4月14日(日)
ノコ(娘小5)の部屋がまた魔窟になった。
年度末の忙しさに見ない振りをしてきたが、もう限界だ。
床には物が散乱し、足の踏み場もない。
朝、ノコを起こしに行ってもドアからベッドまでたどりつけない。ほんの数歩の距離にも関わらずだ。そもそもドアが開かないこともある。
春休み中にも部屋を片付けるよういったが、ノコの返事はいつも同じ。
「わかんない!」「ママがやってよ」「できないし」。
ノコの習い事の大会が昨日で終わった。
ハードな練習が春休み前からはじまり、私はそちらに時間を奪われていた。送迎と待機のために一日の家事を前倒して済ませなければならなかった。ノコ自身は宿題もなく、家にいるあいだは時間があるため片付けをしてほしかったのだが、先の台詞を繰り返すばかりだった。
ノコの片付けにつきあいたくても、つきあえない状況だった。
勤務形態が特殊なむーくん(夫)の休日は、ノコと重なることがあまりない。今日は貴重な家族3人予定がない日だった。むーくんは、気持ちのよい春空の下を自転車で遠出に出ようという。
魅かれないわけではないが、やるべきことがある。
「今日はノコさんの部屋を片付けるよ!」
ゴミ袋を手にノコの部屋へ突入する。
ノコは自分1人ではなく、親2人が総出で協力してくれることに浮かれている。
「どこからやる?」
棚から物を出そうとするが、まずは床だ。フローリングが見えるようにしたい。
「まず、歩けるようにしようよ」
「えええええええ、棚からがいい」
「棚を整理するのに、棚の物を出すにしてもどこに置くっていうのよ」
物を掻きわけなければ、移動すらままならない。
「いいし。わかったし。好きなようにやっちゃダメなんでしょ」
ノコが唇を尖らせていう。
自主性を重んじて好きにやらせてあげたいが、まずは床。とにかく床。床、床、床だ。
「床が片付いたら、あとは好きなように進めていいよ。このままじゃ、歩けないし、座れない」
そして、私は床の物を手に取ると、ノコに問う。
「はい、これはいるの? いらないの?」
ゴミの分別はあとで私がするとして、とにかく不要な物をゴミ袋に入れていく。
「いる? いらない?」
この作業をノコ1人でやってほしいが、それはできないとノコは突っぱねる。
「いる? いらない?」
床から拾いあげた物をノコに見せ、問う。これを淡々と繰り返す。
夜まで続くかと思っていたが、トイレに行って戻ったらノコが1人でもやっていた。
「ノコさん、この山が終わったら声掛けてね」
そういい残して、そっとノコの部屋を出る。
「いる? いらない? ――いらないし」
ノコの自問自答のつぶやきが続いている。エンジンがかかり、回りはじめれば自走できるようだ。手助けはエンジンがかかるまで、勢いがつくまですればいいのかもしれない。
ノコを見ていて思う。
片付けで物を分別するとき、「いる/いらない」ではなく、ただ「いるもの」を拾いあげる方法がよさそうだ。いるのか、いらないのか、と決めようとすると迷いが生じる。
部屋にあってほしいものを残し、あとは不要袋へ入れる。
いるもの以外は、いらない。
その過程で「いる/いらない」のふるいにかけるのは同じだが、「いる」に重きを置き、物を手にしたときにあがる心の「いる!」という叫びに耳を傾ける。
「いる」以外は、いらない。
さすがに今日一日で片付く量ではなし、ノコの集中力もそこまでもたない。
もう少ししたら、気分転換に近所の公園へ行こう。
そして、夜は家族3人TVで映画を観よう。
だって、ここは魔窟だもの。
制覇に焦ったら、飲まれてしまう。