娘小4の1人行動範囲を広げてみたら。
#20231118-295
2023年11月18日(土)
約束の時刻を40分オーバーして、ノコ(娘小4)が帰宅した。
ノコの1人行動範囲は、隣の公園のみだ。小学4年生にしてはかなり狭いと思う。
もう少し広げてあげたいと思うが、週の大半が6時間授業。学校から帰るだけで16時を過ぎる。そこから給食セット、お便り、宿題が書いてあるはずの連絡帳を出し、おやつを食べると、10分、20分なんてあっという間だ。
学校のルールでは、日の長い季節の帰宅時刻は17時。
11月の今に至っては16時半だ。
あまりに短くて不憫になるが、すぐとっぷりと暮れてしまうのでこの帰宅時刻は適切だ。街灯があっても住宅街の暗さは濃い。
移動時間を考慮すると、隣の公園より遠くまで足を伸ばすと、遊ぶ時間がない。
少し離れた公園に行ったものの、ちっとも遊べないまま帰るとなると不満しか残らない。それなら、隣の公園で15分遊べるほうが満たされると思う。大人からしたらたかが15分だが、学校での休憩時間は長くて20分なので、15分でも発散してくる。
行動範囲を広げる機会がなかなかない。
今日は学校でイベントがあった。
ノコも私とではなく、友だちと過ごしたいというので1人行動をさせてみることにした。
本音をいえば心配で、今日までに子ども用携帯電話か居場所がわかるGPSサービスをノコに用意しようかとむーくん(夫)に相談していた。
だが、場所は毎日通っている小学校だ。通学路を行けば迷子の心配はない。先生方をはじめPTAの方々がいるし、保護者も大勢訪れている。何か困ったことがあれば頼れる大人が周囲にいる。
ノコがどれだけ時間を意識し、自分で考えて行動できるか挑戦するいい日ともいえる。
家に12時だとノコに何度もいい、腕時計をさせる。
「1分でも遅れちゃダメ?」
「1分くらいはいいけれど」
「だって、信号が赤になっちゃったら渡れないし」
そういうことも考慮して、早めに学校を出るのだといいたくなる。
「2分は? 2分だったらダメ?」
このままだと3分、4分と確認が続きそうだ。
「何分だったらいいとか、何分だったらダメとかはない。きりがないでしょ。12時に家に着くよう自分で考えて動きなさい」
往路は一緒に学校へ向かう。
イベントがはじまると、ノコは友だちと一緒にいたくていたくて、私の顔なんて見やしない。ママどころじゃない。
「じゃあ、ママは帰るからね。12時に家だよ」
ノコは振り返ることもなく、友だちの輪に駆けて行った。
12時になった。
5分過ぎ、10分過ぎ・・・・・・まだノコは帰らない。
予想の範囲ではある。あのイベントのなかで、ノコがこれをしてあれをして、更に帰る時刻を意識することは難しい。
15分過ぎ、20分が過ぎた。
もうこうなりゃ、何分オーバーするか見ものになってくる。
仕事中のむーくんが休憩時間らしく、ノコが帰ってきたかとLINEを寄越す。そばにいないが、2人で帰りを待っている雰囲気になる。
友だちの母親から私にLINEが入る。
ーーノコちゃんが遅くなるといっています。
そういうところは頭が回る。
ノコが帰ってきたら、どういう顔で迎えよう。
大幅に遅れたことを厳しく注意するか。
でも、イベントの楽しさを台無しにするのも気が引ける。
かといって、何事もなく「おかえり」といえば、〇分過ぎたくらいは大丈夫なのだと学んでしまう。
結局、40分オーバーの12時40分にインターホンが鳴った。小さな画面にノコの顔が映っている。
私はまだ自分の顔にどんな表情を浮かべるか決めかねていた。
第一声はどうしよう。
玄関ドアを薄く開けると、ノコが身をするりと滑り込ませた。
「ママ、遅くなってごめんなさい」
日頃、ノコは悪いと思ってもすぐに謝れないことが多い。今日もしらっと「ただいま」で済ませるかと思っていた。
深く息を私は吐く。
「とても心配したんだよ。こんなに遅いんだもの」
ノコの目が左右に揺れる。
「・・・・・・ごめんなさい」
そして、うつむいたままつぶやいた。
「ママを心配させちゃった」
「そうよ。とっても心配したんだからね」
これでいい。
これ以上はいわないでおこう。
「それで、楽しかったの?」
ノコがパッと顔を上げた。
「誰もね、私と一緒に回ってくれなかったの。みんな、ヤダっていったんだよ。だけどね、○○ちゃんだけはね、いいよっていってくれてね」
○○ちゃんは確か1年生のはずだ。
「○○ちゃんは1人で来てないよね?」
「うん、パパとね、妹とね来ててね。でもねでもね、私ずっと○○ちゃんの荷物を持ってあげたから、パパに感謝されたんだよ」
またよそのご家族に混ざってしまったか。
そこは胸に引っ掛かる。