夏休み。それは思うがままに過ごす時間。
#20230729-182
2023年7月29日(土)
ノコ(娘小4)が2泊3日のサマースクールから帰ってきて、2人きりの夏休みが再開。
さすがに外泊疲れもあるだろう。あまり生活リズムを崩したくないが、9時半頃までは寝かせておこうと思っていたら、8時前にノコが起きてきた。目覚まし時計が学校のある日のままの設定だったという。
「6時に目覚ましで1回起きたけど、また寝ちゃった」
目をこすりこすりいう。
8月に家族で「アルプスの少女ハイジ」のミュージカルを観に行く。
それに先駆けて、関連する本を2冊用意しておいた。ノコが読みたければ読めばいいし、読まなければそれでもいい。1冊は福音館書店の小学中級向けの「ハイジ」。もう1冊は「図説 アルプスの少女ハイジ」(河出書房新社)。ハイジが描かれた19世紀のスイスを歴史的背景から読み解いている。図や写真が豊富だが、ルビがほとんどない大人向けの本だ。
居間にあるノコの本コーナーにさりげなく置いておいたら、サマースクールから帰ってすぐにノコは見付け、はしゃいでいた。
起き抜けのノコは「ハイジ」を手に取り、ソファーへ倒れるようにダイブした。
そのまま、朝食を取らずに読みはじめる。小学中級向けとあったが活字は小さめ、ページ数も500ページとぶ厚い本だ。
黙々と読み続ける。
「さすがにお腹空いちゃった……」と食卓についたのは11時。昼、間近だ。
食べ終えると、ノコはまたソファーに向かい、「ハイジ」の世界に戻ってしまった。
「今日の分の宿題は?」
19世紀のスイスにいるノコは当然返事をしない。
「ノコさん、今日の分の宿題はいつやるの?」
せっかく没頭しているのだから、放っておいたほうがいいと思うが、ノコの意向も確認したい。3度目でようやく私を見たが、遠い目をしている。
「ママァ、ロッテンマイアさんって”しつかい”?」
なぜかノコはよく”召使い”を”しつかい”といい間違える。
「しつかいじゃなくて、召使いね。ロッテンマイアさんは召使いというより家政婦長かなぁ…… お家のことをするんだけど、そのとりまとめをする人かな」
「ロッテンマイアさんってサイテー」
また本に帰ろうとするノコを慌てて引き留める。
「ノコさん、今日の分の宿題はいつやりますか?」
「……明日やる」
「後まわしにするの? 明日の分もあるから、量が増えて大変だと思うよ」
「明日やる」
ノコは眉間に皺を寄せて苛立たしげにいうと、ページに目を落とした。
没頭するのはいい。
本の世界にひたることはできる人には容易なことだが、できない人にはトコトンできないことだ。それを努力せずにノコができていることを本好きの私は嬉しく思っている。
いくら本の魅力を説き、いくら本を用意しても読まない子は読まない。
夏休み9日目。サマースクール前に済ませるはずだった宿題も終わっておらず、目下どんどんたまってきている。
計画は立ててある。
宿題提出日までに何をすべきかはノコ自身も把握している。
最低限の声掛けだけして、あとはノコにゆだねるか。
それとも、お尻を叩き(本当に叩くわけではなく!)計画の〇〇まで終わっていなければ楽しみにしているイベントを中止にすると脅すようなことをいうか。
揺れる私がいる。
小学4年生の夏休みは一度きりだ。
まぁ、ノコが後悔しようがしまいが、思うがままに好きなように過ごさせるのも夏の思い出かもしれない。