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人との距離感が近い子どもを変えるには。~その1~
#20240226-364
2024年2月26日(月)
習い事からの帰り道。
同じクラスの子どもたちが駅に向かって歩いていたが、3人の足が止まってしまった。1台のスマートフォンを覗きこみ、なにやらやっている。ゲームなのか、撮った写真をおもしろおかしく加工しているのか、それとも親へ帰宅するとビデオ通話しているのか。とにかく立ち止まったままだ。
「早く帰ろうよ!」
ノコ(娘小4)が叫んでも3人は動かない。ノコはそこに加わりたいが、加われず、近くにいた2年生の女児をぎゅっと抱き寄せた。
「ねえ、ねえ、いい子だねえ」
頭をぐりぐりとなでている。小柄なノコよりさらに小柄なその女児は、まだ2年生ということもあってか、ノコにされるがままだ。
相手は低学年とはいえ、もう小学生だ。幼稚園児ではない。
「先、電車乗っちゃおうか」
私が声を掛けるとノコは3人を凝視したまま、首を振った。
「一緒に帰る」
帰るといっても、路線は同じとはいえ、各駅停車に乗る子もいれば、急行に乗る子もいる。下車駅も隣駅の子もいれば、私たちの駅より先の子もいる。
「はーやーくー行こーよ!」
ノコが2度3度と叫んでも3人は動かない。ノコは腕のなかにいる女児がそちらに行ってしまうのではないかと必死に抱き締めている。
電車に乗ってからもそれが続いた。
3人はただスマホに夢中になっているだけで、ノコを除け者にしているつもりは微塵もない。そのうちの1人が1駅で下車すると、残った2人はスマホから目を離し、何事もなかったかのようにノコたちに顔を向けた。
疎外されたと感じたノコのへそはもう曲がってしまった。2人はノコがなぜ機嫌が悪いのかわからない。
――ノコちゃんって、急に機嫌が悪くなることあるよね。
そういいたげだ。
こんな日もあった。
互いに送迎の母親はいれど、同じ小学4年生女児と子ども2人きりになった。ノコはその女児を独り占めできることが嬉しくて嬉しくて、電車のシートにくっついて座った。手は指をからめあったいわゆる「恋人つなぎ」だ。
ぱらぱらと立つ人がいる車内で、女児の母親と私は子どもたちの斜め向かいに座っていた。
「ノコちゃん、将来恋人ができたらベッタリになりそうだね」
何気なくいったのだろう。そういわれ、私は苦く笑った。
「そうなんだよねぇ、人との距離がちょっとバグってるんだよね。いい恋人と出会えればいいんだけどね」
ノコが里子であることは伝えていない。
人との距離の近さは、幼児期に愛着形成が十分でなかったためである。
同年代の異性にはしなくなったが、同性であってもそろそろその距離の近さに周囲が違和感を抱きつつある。「それは家族の距離だよ」と注意しても、そういうときは相手をつなぎとめるのに必死なためノコは怒ってしまう。あとで指摘すると、そんな自分の姿は見えていないので「していない」といい張り、やはり怒る。
いずれ、友だちに「距離がおかしい」といわれるのを待つしかないのだろうか。
その言葉を冷静に受け止めて気を付けるようになればいいが、おそらく「ひどい」「悪口いった」と否定されたと感じ、怒りを爆発させそうだ。
私がもっともっとノコを抱き締めたほうがいいのだろうか。
今でもノコが「ぎゅうして」といえば応じているつもりだし、こちらからもしているつもりだが、おそらく足りていないのだろう。時間がないときは、どうしても「はい、おしまい!」といいがちだ。
誰かにぎゅうしたくなったら、私のもとへ来るよういおうか。
声掛けもシンプルに「家族の距離だよ」としようか。
「もっと離れて」と行動を指示するのではなく、今、ノコがしている状況を言語化するだけに留めるのだ。
愛を求めている子どもに、それを止めろとはいえない。
とりあえず1週間。
意識的にスキンシップを増やしてみようか。
ノコを変えるより、自分を変えたほうが早い。
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