寝かしつけにラノベ!
#20240107-335
2024年1月7日(日)
小学校と図書館で子ども向けの読み聞かせボランティアをしている。
ノコ(娘小4)にだって、もちろんたくさん読み聞かせたい。
里子のノコが我が家に来た幼稚園年長児の頃は、昼間でもお風呂でも寝る前でも読み聞かせをした。あぁ、お風呂ではさすがに本を読む「読み聞かせ」ではなく、語りともいえるストーリーテリングか、もしくはその場ででっち上げのほら話、もとい創作話だ。ノコ之介だのノコ姫だのが登場したりする。
私は要約が苦手だ。
おもしろいと思った話は細部までおもしろく、端折るところがない。
伏線だってある。
おいしいところをかいつまむことなんてできない。
通っていた高校が芸術方面に力を入れていて――当時は幼くてその貴重さを理解していなかったが、よく演じ手を学校に招いたり、または劇場を貸し切ったりしていた。演劇、落語、歌舞伎、人形浄瑠璃、ミュージカル、音楽会、映画…… 実に多種多様な作品に出会わせてくれた。
その度に私は興奮し、帰宅すると、家事をする母につきまとい、最初から最後まで再現した。どれもだいたい2時間ほどなので、私もほぼそのくらい語っていた。
今、振り返ると我ながら「うるさい子」だったと思う。
だが、母はその度に目尻を下げて「ホントにそんな細かいところまで覚えてるわねぇ」とおもしろがってくれた。ありがたいことだ。それと、自慢じゃないが、再現率もなかなかよかったのだと思う。
今はその記憶力はいずこへと首を傾げてしまうが、子どもの頃はとてもよかった。
おもしろければ、台詞や仕草は覚えようとしなくてもするすると身に入っていった。
今も少しはその片鱗が残っている。
おもしろいものは覚えるし、再現したくなる。
ノコは今のところ幸いにも本好きに育ったので、学年が上がるにつれ、読み聞かせよりも自分で読む時間のほうが増えた。今でも時折読み聞かせやストーリーテリングをするが、それはわりとご褒美的位置付けになっている。
20時までにベッドに入ることができたら、読み聞かせをして「あげる」。
小学4年生の現在、なかなか20時までにベッドに入るのは厳しい。
寝起きが悪いので早寝をしてほしいのだが、なにかと起きていたがる。読み聞かせはだいぶしていない。
それがこの年末、ノコが体調を崩したこともあり、とにかく「寝なさい」という回数が激増した。
回復のためにも寝るよういうと、渋々ノコはベッドへ向かう。
まだ寝たくないノコがいう。
「ママママ、ママママ、ねぇ、読み聞かせかお話して。そうでないと寝れない」
そういうわけで、私はベッドの縁に腰掛け、ノコの顔を見ながら物語を紡ぐ。
好きな話ならば何度でも喜ぶ場合もあるが、読書量の多いノコは新作を求めている。「あ、それ知ってる!」よりも「え、それ知らない!」だ。
活字中毒気味の私はちょっとした時間――電子レンジで下ごしらえの短い加熱をするあいだや洗濯機があと少しでおわる脱水を待つあいだでも何かを読みたくなる。そんなときにはスマートフォンで読めるライトノベルがよい。
異世界転生や悪役令嬢など、類似した設定なのに、少しずつ違っていてその差異がおもしろい。
ノコにそのなかのひとつを語ってみた。
スマホを読み上げるのではなく、記憶を頼りに私が読んだものをノコに語る。
ノコの顔を見つめ、場面を思い浮かべながらテンポよく。いつのまにかノコも同じ景色を見ているか、目を輝かせる。
「――はい、今日はここまで」
「ええええええ、もうちょっとだけ!」
のめり気味なノコに私は笑ってしまう。
「無理、無理。ママ、まだここまでしか読んでないもん。この先は知らない」
「ママが作ったんだよね?」
「違うってば。ママが読んだお話。さぁ、寝てね」
布団のなかの足をノコはばたつかせる。
「ねぇ、ママママ、ママママ、早く先、読んでー!」
ライトノベル、なかなか食いつきがよい。