不機嫌な別れ。~見送りの際に思うこと~
#20240727-444
2024年7月27日(土)夏休み8日目
今日からノコ(娘小5)が習い事の夏合宿へ出る。
送迎のある初日と最終日は、むーくん(夫)も同行する。勤務日であれば年休取得。
はじめの頃は、私1人でノコを連れて集合場所へ向かうのが厳しかったからだ。
数泊分の衣類を詰めたリュックは大きく重く、「自分の荷物は自分で持ちなさい」といいたいが、さすがにまだ小柄な低学年当時はかわいそうだった。合宿に行く前から疲れさせるのもなんだ。ノコも緊張しているので、機嫌を損ねて「やっぱり行かない」といいかねない。
今回は土曜日出発だが、過去には平日のときもあった。通勤ラッシュに人混みと、ノコを不機嫌にさせずに連れ歩くのは難しい。
ノコを気持ちよく送り出すためには、むーくん必須。
大きなリュックは持ってくれるし、混んだ電車内でもノコをしっかり守ってくれる。引き渡す前にトイレを済ませておいたほうがいいのだが、私が促してもノコは「出ないし」と行かない。むーくんが一言「トイレ、行ってこい」といえば行く。
学年があがるにつれ、ノコも合宿に慣れてきた。
大きなリュックはまだ持ちたがらないが――合宿期間中は自分で持ち運ばなければならないので甘えもあるのだろう――、身長も伸びてラッシュにも耐えられるようになった。手をつながなくてもついてくるようになった。トイレは相変わらず行きたがらないが、声掛けしても本人が行かないのだから「あとは本人の責任だ」と私のほうが心配を手放せるようになった。
私1人でも送迎できるかもしれない。
年休取得してもらうほどじゃないかもしれない。
ときどき、そんな思いがよぎる。
集合場所に着くと、習い事先のスタッフに引き渡しの手続きをする。
バスの場合はバスへ移動するまで。電車の場合は改札に入って行くまで。その直前まで、手続きを終えた保護者たちは出発を待つ子どもたちの近くにいる。新型コロナウイルスが流行していた頃は、密にならないために引き渡したら保護者はその場に留まらないよう指導があったが、それも最近はゆるくなった。
子どもたちは親に小さく手を振る。
ときにサッと輪を抜けだして親のもとに駆け寄り、なにかその耳にささやくと急いで子どもたちのところへ戻っていく。はじめての合宿なのか、不安が強い子どもなのか、泣いて泣いて行きたがらない子どももいるが、大抵の子どもは親と目を交わしたり、微笑んだりしている。
そんななか、ノコは違う。
引き渡しが済むと、こちらに一瞥もくれない。
私のほうがなにかいいたくて、ノコのところへ行ってしまう。
――出発までまだ時間があるから、大きなリュックは下に置いておいたら。
――懐中電灯はリュックの外ポケット、右のほうに入っているからね。
――帰りの酔い止めは、ここだから飲むの忘れないでね。
そのたびに、ノコはうるさげに顔をしかめる。
はやくパパのもとへ戻れとばかりに手を振る。「わかってる」「うるさい」「知ってるし」。
過保護なのはわかる。だが、合宿から帰ると、ナニがなかった、コレがなかったとノコはいう。一緒に荷造りし、事前に伝えたにも関わらずだ。あるのに、スタッフに借りたりもする。
ほかの子どものように、手を振ったり、笑ったりしてくれればいいのに。
しかめっ面のノコについそう思ってしまう。
そんな私に対して、むーくんはノコがなにか合図をしてきてもわざと明後日の方角へ顔を向け、気付かない振りをする。ノコがやっきになればなるほど、スイッスイッと顔をそらす。もうわざとだとバレている。
しまいに、ノコはその場で地団駄を踏み、むーくんが笑う。ノコがそれを見て、殴るような素振りをする。
なにも出発前に怒らせなくても・・・・・・と思うが、これが2人の通常運転でもある。
「ノコさんってさ、出発前、なんで不機嫌になるんだろ」
手を振ったり、笑ったりして、しばしの別れを惜しんでほしい私は思う。
「淋しいんだろ」
むーくんが素っ気なくいう。
確かにノコの不機嫌さは、さまざまな感情をはらんでいる。
合宿に慣れたように見えても毎回スタッフもメンバーも顔ぶれが違う。行けば楽しいことを知っていても、心細いのかもしれない。不安だけでなく、私たちと別れる「淋しさ」もノコは感じるようになったのだろうか。
むーくんの言葉に納得しつつも、ノコの不機嫌さを受け止めきれない私がいる。
だから。
送迎には、まだむーくんが必要なのだ。
ノコが不機嫌顔で合宿に出発しても笑って送り出せるよう、やっぱり年休取得はしてもらおう。
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